特殊耐久サバイバル部門前篇 その14
特殊耐久サバイバル部門前篇 その14
システムを用いない手動での採掘、それにより可能なピンポイントな鉱石の獲得。
……代わりに鉱床が物理的に取れているのだが、まあ小さな犠牲だ。
「きっと、魔獣の領域なら再生するさ……そうあってくださいお願いします」
鉱石欲しさにかなりの鉱床を削り潰しているので、少々の罪悪感がなぁ。
何より、鉱石はいくらあっても困らないので、ぜひとも復活してもらいたい。
「長距離転移は使えないし、熱も利用したいから今回はここで休もう……エクリ、切り替えるぞ」
『畏まりました』
眼を閉じ、意識を切り離すイメージ。
すると一瞬、ふわっとした感覚と共にこれまで感じていた熱気が消え失せる。
眼を開けばそこは影の中。
エクリが展開してくれている、外界の影響が無い安全な場所に居た。
「錬産術──鍛造錬産“鍛冶造場”」
そこで行うのは鉱石の精錬。
錬金術を用いた生産能力の簡易化、それにより鍛冶を行う場を整える。
……まあ、錬産術というか錬金術の中には精錬をサクッと行う技もあるのだが。
若干とはいえ質が落ちてしまうので、逆に向上が見込める鍛冶で一からやることに。
「エクリ、鍛冶鎚を」
『──生成』
「あとは【救星者】、:DIY:のごり押しか……今回は【生産勇者】も使えるな」
チート過ぎてほとんどの性能が封じられている:DIY:と違い、あくまで作った後の作用が主な【生産勇者】には制限がほとんど掛けられていない。
エクリに用意してもらった闇を凝縮した鍛冶鎚を握り締め、鍛冶台に向き合う。
はっきり言って、俺にはここまで準備してなお足りないものがある──能力値だ。
普段はチート臭い超絶強化によって補われているが、それも今は無いのだから。
…………だからこそ、これまたご都合主義的に用意された物を使う。
「二つ目の『リミットブレイカー』、これで最低限の能力値強化を解放する」
長時間の採掘で得られたのは一個のみ。
話し合える相手がいないので、獲得率がどれくらいなのかは分からないが……出現率はかなり低いはずだ。
《──おそらく、封印されている個所の数が多い者ほど獲得率は低いはずです》
「……つまり初心者はさっさと元の状態に戻れるってことか? うーん、なら余った分を強者に渡すことを交渉材料に……みたいなこともできるのか?」
《保持可能な数には限度があるようですし、ある程度は可能かもしれません。ただ、序盤においてそれを選ぶ者は居ないでしょうが》
「脅されて渡す、ぐらいのアレはありそうな気がするな。あるいは、抵抗しても強制的にドロップさせられる……的な。死んでも保持できる、とは書かれてなかったし」
《魔物の討伐でも素材の採取でもなく、他者からの簒奪をメインとする参加者をターゲットとしているのでしょう》
つまり、『殺してでも奪い取る!』をやるためのシステムか。
その場合の補填がどうなるのか、不明ではあるが……気にしないでおこう。
そんなこんなで、使える時に使った方がいい『リミットブレイカー』を使用する。
──これにより、最低限生産に必要な能力値は一時的に得られるようになるのだった。