特殊耐久サバイバル部門前篇 その26
特殊耐久サバイバル部門前篇 その26
辿り着いた新たな魔獣の領域は、植物たちが生い茂る緑の世界。
今はフィールド一つ分で収まっているが、いづれは外部を侵すこと間違いなしだ。
「“鑑定”」
採取した植物に魔力の籠もった視線を向ける──『?』だらけで名前しか表示されない情報群。
《『誘惑の葉』──情報を更新します》
「精霊だけじゃなく、何にでも効いたってわけだ……怖い怖い」
事前に派遣した精霊入りのドローンは、とある木に囚われていた。
その植物の葉っぱを一枚採取し、調べてみることに。
結果、その木には高い誘引性能があることが分かった。
それは本来、スキルでは得られないはずの情報……しかし情報は記載されている。
理屈は簡単、外部から正確な情報を検索して貼り付けているだけ。
システムでは開示されない情報も、非公開になっているだけで存在自体はしている。
ある情報は『SEBAS』が書物で、またある情報は:DIY:使用時に体を以って体験していた。
そうして積み重ねた無数の情報群から、正解を選び出している。
突如生まれた未知の物質でもない限りは、ある程度分かるぐらいに情報は持っていた。
「鑑定スキルのレベルが高い、あるいは多少低くても該当分野の知識系スキルがあれば正規のアクセスができるんだろうけど……どれだけ職業スキルで補正を出しても、視れないものは視れないんだよな」
《魔道具などによる数値の嵩増しを加味し、基礎値が一定でなければ視ることができないモノがございます。あるいは前提条件、一定の知識を必要とする場合も》
「レベルを上げて物理で殴る、じゃないけどただ数値が高ければ何でもできるとかだと問題になるってことかな?」
《レベルやスキルはあくまでも、補正に過ぎないのです。最低限を、下地を満たしていなければ何事もできないように世界の理は構築されています》
「…………うん、サバイバルをやっている時に言うようなことじゃなかったな。有識者とか頭のいい連中が聞いたら、絶対に有効活用してくれるはずなのになぁ」
だが残念なことに、拝聴者は俺。
要は世界は真っ当な努力を求めているってわけだ……うん、現在進行形でそれに違反しているわけなんだがな。
そして何より、今の世界にはその常識を覆す代物が無数に……いや無限に存在する。
そう、権能を模した擬似権能──正式名称『プログレス』だな。
◆ □ ◆ □ ◆
さて、俺がそんなしょうもないことを考えている間も、状況は進んでいる。
掻き集めた植物を“鑑定”に通し、またその後:DIY:に登録していた。
一部魔物由来の植物も混ざっており、全部が全部複製できるわけじゃない。
だがそれでも後から使える植物が増えていけば、その分だけできることが増える。
「…………アレ、トれるかな?」
そんな中、絶対に希少価値が高いだろうと思われる植物を発見。
悩みに悩んだ結果、俺は──その場から去ることになった。