特殊耐久サバイバル部門前篇 その31
特殊耐久サバイバル部門前篇 その31
再び新たな領域を目指し、移動を開始。
そして、境界線で隔てられたその場所を俺は目にする──
「今回は、どういうコンセプトなんだ?」
そびえ立つ山々、その一つひとつが異なる気候から成るまさにファンタジーな光景。
雪山、火山、そして屍の山……いや本当にあるんだって、死骸が積み重なった山が。
《山岳領域、と名付けられておりますね》
「山岳地帯は山が連なるとは言うけど、こうも別々に存在しているのとは違うと思うんだけどな……」
山がくっついているわけでもなく、一定の距離ごとに異なる山がある感じ。
これが一つに繋がっている、というのであれば分からないのでもないが……。
「これはあれか、実はこの山自体が巨大な魔獣で繋がっているとか。イメージ的には亀とかが該当しそう」
《ドローンでの調査では、少なくとも巨大な一体というわけではないことが判明しております──無数の反応、それも山につき一つずつ確認されておりますので》
「…………ズルくない?」
《これまでに観測された魔獣の反応に比べれば、やや劣るものです。質より量、あるいは眷属を使役するタイプの魔獣なのかもしれません》
「そうなると、亀じゃないのか? ……いやまあ、亀の産卵はそれなりに多いから、無いわけでは無いけども。親玉が居るなら、それなりに強い反応のはずだし」
結局、魔物の生態は動物に似てはいるものの、本来の生態とは異なる部分を魔力がご都合主義で補っているため、実際と異なる点などいくらでもある。
亀であれば、水中ではなく空をジェット噴射で飛ぶ……なんて個体も居るみたいだし。
魔獣として、この領域の個体がどういった性質を持っているのか……それ次第だな。
「まあでも、他の領域でも取れそうな素材がたくさん採れるのはいいことだな……あからさまな屍の山は、調子に乗るとこうなるぞというアピールかもしれないけど」
いつものように隠密行動用の術式や擬似スキルを展開し、領域内の散策を開始。
山岳領域には湖の領域と同様、それなりに魔物が生息しているので油断はできない。
各山の性質に合わせ、異なる魔物たちが住み着いている。
……後のことを考えると、ここもまた侵攻する時には面倒なことになるだろう。
「……って、ん?」
《旦那様》
「なんか、さっきよりも山の場所がおかしいような気がしてさ……気のせいか?」
《いえ、その報告をしようとしていたところです。ドローンでの観測の結果、確実に山の位置が動いております》
山が動く、そんな現象が現実に起きるわけが無い。
つまり、ファンタジー的な意図があるわけで……そう、侵攻の始まりである。