特殊耐久サバイバル部門前篇 その45
特殊耐久サバイバル部門前篇 その45
魔獣たちが自らの領域で侵食をはじめ、俺が除草剤の散布を増やそうと決心した頃。
ヤドカリの影に潜んでいたはずの俺に、声が掛けられる。
「──あの、出てきてもらえませんか? 場所は分かっているのですが、干渉するのはどうにも手間でして」
現在、俺はヤドカリが背負う氷山に生まれた小さな影、その中に異空間を創っていた。
物理・魔力問わず、闇や影を暴く光や闇属性の干渉が無ければ基本的に無敵である。
外部に居る何者かは、余裕を持ってそうした干渉ができない存在のようだ。
……怖いのは面倒と言っているだけで、それでもできるナニカを持っていること。
無視し続けることもできるだろうし、この場から追い出されたところで何とかなる。
ただ、ずっと追われているとポイント稼ぎの邪魔になるので……対応はしよう。
「会話であれば、このままでも可能です。無礼で申し訳ありませんが、危険な場所にこの身を晒したくはありません」
「たしかに……それはそうですね。分かりました、こちらの用件だけお伝えして。この場は退散します」
最悪、敵対することも想定して影渡りの準備はしていたが、まだ繋がっているようだ。
声はスキルか能力の影響か、男女の判別が付けられない。
《──女性です。魔力での隠蔽はされていますが、周波数から割り出せました。ですが、容姿はかなり強く妨害を掛けており、現状では解析不可です》
普段よりも使っているアイテムの質が悪いので、全部を知ることはできなかった。
それでも、相手は女性だと知れた……まあそれを突くことは、今回はしないけども。
「こほんっ。では用件を──同盟を組もう、我ら魔獣と……以上です」
「……あの、それはいったい」
「貴方様だけでなく、見込みのある方々にも声を掛けられています。賛否どちらでも構いません、ですがお早いご返答を。期限は明日に再び行われる、侵攻が終わるまで。返答が無い場合は、断ったということになります」
「…………分かりました」
「それでは、失礼いたしました。ご返事は魔力と共に声に出していただければ、それを聞き取ります……くれぐれも、意味も無く行わないでください」
◆ □ ◆ □ ◆
そうして女性──女性の姿をしたナニカはこの場から消えた。
同時に、魔獣たちもまた定刻となったのか丘陵の中立地帯から撤退していく。
「……『SEBAS』」
《旦那様、いかがなさいますか?》
「どうしたものか……条件はあれだな、人との交流が少なかったことか」
強さを基準にはしていないだろう。
ただ、そうだった場合集まるのは協調性の無い連中ばかりな気がする…………うーん、かなり悩むなぁ。