特殊耐久サバイバル部門前篇 その50
特殊耐久サバイバル部門前篇 その50
空間に関する魔獣の領域へ招かれた。
そこに人の姿は無く、なぜか[クエスト]が発効される。
「……まあ、こんなところかな」
内容は至ってシンプル、領域内に俺以外の参加者たちが拠点としやすいよう設備を充実させるというもの。
普段なら:DIY:を使い、無限のエネルギーで何でも作れるが……今はイベント中。
かなりの制限が掛かっているため、そう簡単にはいかないのだが──
「…………あの、まだ一日も経っていないのですが?」
「条件を呑んでくださりましたので、お陰様でここまですることができましたよ」
「──いえ、アレは元より協力していただく方全員にする予定でしたので……それでも、こんなにも凄いことになるなんて驚きです」
「『リミテッドブレイカー』、これがあればこそですよ。」
イベント中に集めていた『リミットブレイカー』、その特別版。
どうやら協力者に限り、それを貰えて使うことができるとのこと。
特殊耐久サバイバル部門において、制限されている装備品や一部のスキル、職業能力。
それを魔獣たちに与する者たちは、そのすべての制限を取っ払えてもらえるようだ。
お陰で俺も:DIY:をほぼ解放、この領域に小規模だが街ができた。
素材も全区画分採取できるし、何不自由なく生産活動に勤しめたよ。
なお、『リミットブレイカー』よりも解放される内容は増えるようだ。
参加者たちに立ちはだかるボスとして、少しは戦えるよう補正があるわけだな。
「……これなら、他の皆様を招いても不満などは出ませんね」
「ええ、そう考えてもらえるように設備は充実させましたので」
「──分かりました。それでは、さっそくお呼びしましょうか」
そう言って、彼女は領域から出て俺同様にスカウトに応じた参加者を招きに行く。
残されたのは俺だけ──この瞬間を、俺は待っていた。
「まあ、領域の主を出し抜くことなど不可能でしょうけどね」
《──ドローン展開、配備します》
彼女はこの領域の主が生み出した、対人用のコミュニケーションツール。
生産の間、『SEBAS』が解析してくれたので判明した。
この領域の主、その正体は空間そのもの。
濃度の高い魔力が変質し、魔物となりその果てに魔獣となった存在。
討伐を望むのであれば、この空間すべてを請わない限りそれは不可能だろう。
まあ、できそうなヤツの心当たりが、俺にはいくらでもついているのだけれど。
「少なくともこの領域そのものに手を出さない限りは、邪魔立てはしないはずでしょう」
そうであれば、わざわざ口に出したこの発言を終わらせる前に圧死でもさせればいい。
……むしろ、俺がこれからやることを無視しているのだから、協力的かもな。