特殊耐久サバイバル部門後篇 その06
特殊耐久サバイバル部門後篇 その06
裏切り者の参加者たちは、五つの中立地帯への侵攻を協力することに。
俺は火山の魔獣が平原の侵攻を行う手伝い担当となり、現在は狙撃に勤しんでいる。
銃を模った指先、闇で構築された弾丸が生み出されては飛んでいく。
最初は的中、その後は狙撃を警戒する参加者たちだったが……それでも弾は当たる。
「──“必射的中”、成功しているようで何よりです」
元より“万闇統一”によって生み出された物質は、エクリの支配下にあるため物理法則なんて関係なく、自由自在な動きを取ることができるのだが……今回は別。
弾自体は真っ直ぐ飛ばし、それを術式による補正で誘導していた。
多少の手間は掛かるが、こうした方がいい利点がいくつかあるからな。
「まず、術式が無ければ正しく補正ができないと誤解する」
放たれた弾丸を防ぐように、築き上げられた無数の壁──それを避けるように弾丸は軌道を変え、狙っていた対象を貫く。
相手もそのやり方を考察し、最初から築くだけでなく飛んでくる最中にピンポイントで壁を展開するなど、それなりに対策はしているのだが……それでも当たる。
「次に、そもそも観測できるやり方でしか狙撃ができないと誤解する」
なんせ、闇が弾丸となっているのだ。
今は物質として物理法則に軌道以外は従っているが、別にそうしなくても良い。
弾丸という目に見える使い方ではなく、それこそ微精霊でもいいだろう。
彼らを影の中に潜らせ、攻撃を放てばそれだけで何人かは倒せる。
まあ、これはあとでもっと別の使い方をする予定なのでやらないけども……そして何より、一番の理由が──
「バレたらアウトですからね。代わりに育てておきたいですので」
それでも口に出し、行うのにはれっきとした意味があるのだ。
別にナルシストだからではない、いわゆる言霊というヤツである。
かつて、と言うほど前では無いが、闘技大会で戦った【魔導勇者】も言っていた。
知られることにより、強く定着して効果を発揮する。
これは彼(女)が用いた魔導だけでなく、システム由来の技すべてが該当するのだ。
積み重ねた痕跡の数だけ、それはより深く世界に刻み込まれる。
……要するに、見せ札をあえて開示して性能を良くしているだけ。
絶対に観てくれているであろう、強力な存在のお陰で痕跡は更に深くなる。
「まあ、これで良くなるのはせいぜい構成そのもの。術式そのものが良くなるわけではありませんからね……気長に、それでいて着実にやっていきましょうか」
例えるなら、ヒューマンエラーが無くなるようなものだ。
詠唱が正しくない、魔力操作が下手、そういった術式自体とは別の要素。
そんな感じの起動後ではなく、起動前や起動中の動作不良を、微々だが改善できる。
だからこそ、凄腕の術者でもわざわざ声に出して術式を行使していくのだ。
まあ、別にずっと使い続けていればそんなことせずともいいのだけれど……一番手っ取り早いのも、また事実だからな。