特殊耐久サバイバル部門後篇 その14
特殊耐久サバイバル部門後篇 その14
侵攻と防衛、繰り返される領土の奪い合いの中で、人々は土地を奪われていく。
だが、魔獣たちもまた、蟲毒のように己のみを勝者とすべく奪い合いを行っていた。
火山と化した元平原、そこを侵攻するのは湖と樹海、そして湿地の魔獣たち。
前回来た時は侵攻していなかった湿地の主も、今回は参戦しているようだ。
樹海や湿地、若木を頂いた植物の領域やルリの居る場所に近い沼地の領域など、似ている領域も存在する。
だが環境にやや似ているところがあろうとも、支配する魔獣によって法則はまったく異なるようで……植物と樹海、同じく木々から成る領域でも、その差は歴然だった。
「さて、何とかしますかね……まずは、あの霧からでしょうか」
現在、火山地帯では極めて珍しい濃霧が区画中を覆っている。
当然天然由来のものではなく、魔獣が自らの能力によって展開しているもの。
樹海の法則、それは彷徨。
霧の中に居る間、上下左右も前後も狂い辺りを彷徨うことを強要してくる。
樹海の植物はその媒介、魔獣が発生させた霧を溜め込む。
それを外部に散布するのだが、舞い散る葉の一枚一枚もそれが可能なのだ。
非常に面倒臭い。
火山の主であるネズミの魔獣も、無限回復という面倒臭さなのだが、こちらはこちらで別ベクトルから討伐しづらくなっている。
「──“千変宝珠・風”×100」
特殊な霧ではあるものの、最低限の物理法則には従ってくれていた。
なので強い風を吹かせておけば、留まることはなく遠くへ飛んでいく。
一度発動させた術式は、『SEBAS』が管理して随時発動させてくれる。
同じ術式なので使った後もリサイクル、効率よく霧を遠くへ追いやっていった。
「私程度の術式でも、通用してくれるタイプで良かったです。あくまでも拡散、そちらに重きを置いているからでしょうね」
さすがに霧を広げただけで、侵攻を済ませられるわけでは無い。
ゆっくりと根を伸ばしている木々、あれらが魔獣の手足となり領域を広げている。
「まあ、あれらの駆除は他の皆様にお任せするとして……今度はあちらですか」
ここを攻めてきている魔獣は、一体だけではない。
湖の魔獣……は直接では無いし、樹海も間接的な手段を封じたから今は大丈夫だ。
問題は最後の魔獣──湿地の領域支配者である、カエルの蹂躙っぷり。
目に見えて暴れているのだが、裏切り者たちの防衛戦線はあっさりと崩壊している。
元よりチームプレイなど選ばない彼らだったが、追い込まれ過ぎて仕方なく協定が結ばれて力を合わせて防いでいた。
が、それでもカエルが舌を振り回すだけで一蹴……うん、強過ぎるんだよな。
これをどうにかしたい、だが目立ちたくないわけで……どうしたものか。