特殊耐久サバイバル部門後篇 その16
特殊耐久サバイバル部門後篇 その16
イベント中に作り上げた、『試作型増蓄魔銃・壱式』。
それを向けるのは、俺たちの陣営から多くの犠牲を出しているカエル型の魔獣。
無数の機構を組み合わせ、他の者たちに時間を稼いでもらっての一射。
空間を隔てた超高純度の闇属性魔力は、的確にある一点のみを貫いた。
≪討伐完了──『湿地』が保有する領域が、空白地帯となります≫
アナウンスによって、それは確定となる。
カエル型の魔獣、湿地の支配者が死んだことにより彼の周囲の環境が再び火山のモノへと戻っていく。
「今頃、すぐに予備選力が動いている頃ですかね……とはいえ、油断は禁物ですね。すぐに回復用のポーションを散布します、効果を受け次第別の場所の支援をお願いします!」
ポーションを搭載したドローンが飛んで、裏切り者たちのダメージを癒す。
時間稼ぎをしてもらった感謝も籠め、全回復なうえに状態異常も解消しておいた。
なお、カエル型の魔獣の死体はその場に残ることなくすぐに消えている。
このイベントのルールの一つ、彼らの死は文字通り余すことなく後に利用されるのだ。
そしてそんな彼が支配していた領域は、この後すぐに他の魔獣の侵攻を受ける。
誰も守っていない無防備な場所、そこを攻めるだけで誰でも得するわけだからな。
それについては、魔獣の同盟(+裏切り者の参加者たち)も同意済み。
なので一部の裏切り者たちが、そうして魔獣討伐時に動けるように待機。
アナウンスがあれば即座にそちらへ、可能であれば同盟の魔獣が訪れるまで時間稼ぎをする仕組みになっている……なお、その分だけご褒美があるのでWinWinだぞ。
「壱式の実地試験は成功ですね。これなら、魔獣たちに届き得る……」
対魔獣用武器として創られたこの銃。
拳銃や狙撃銃だけでなく、多くの銃の要素が取り入れられており、その一つひとつが確認されている魔獣への対抗策となっている。
今回は超高純度魔力である一点──核を貫くことで討伐したのだが、それだけでは倒せない魔獣なども確認されており、改めて魔獣の理不尽さについて考え直したものだ。
「っと、そろそろ時間ですね。いい加減、この状況も崩れるでしょう。すでに七日目も終わり、思考加速が続くとはいえ長過ぎれば支障も出るはず」
謎の技術によって、元より現実よりも早く進んでいるEHO内部の時間。
だがイベント中は更に加速している……おまけに、その正確な程は開示されていない。
まあ、休人からしてみれば、プレイできる時間が増えるボーナスタイムのようなもの。
現実の方で、後に必ず問題になると思うのだが……うん、先のことは気にしない。