特殊耐久サバイバル部門後篇 その17
特殊耐久サバイバル部門後篇 その17
魔獣が一体討伐されたことにより、空白となった領域が生まれた。
今頃そちらの奪い合いも行われているだろうが、それは担当の者たちに任せている。
魔獣殺しを成した銃型のアイテム。
変化する形状と機構を組み合わせ、異なる性質で強さを誇る彼らを殺すことができる、他ならぬ魔獣由来の素材で作った武器。
加速するイベントの時間、その中で求められる生存能力。
俺たち参加者だけでなく、魔獣たちもまたたった一体になるまで殺し合い続けるのか。
「……八日目、ですね」
出撃しては撤退し、アレから魔獣を討つ機会は無くとも無事に生還することができた。
それでも情勢はなお動く……今回、同盟に属する魔獣の一体が討たれたらしい。
「──さすがはうちの息子です」
そう、すでに集結していた仲間たち、そして他の参加者たちと力を合わせ魔獣の討伐に成功したんだとか……うんうん、鍛えていた成果はあったようだな。
魔獣たちに協調性というものはないので、敵討ちをすることも無いだろう。
あるにしても、俺は最初の取り決めで家族の下へ向かうことはない……実に楽だ。
「そして、イベントもただ侵攻を繰り返すわけではないようですね──シャッフル、そう来ますか」
八日目となり、突如[メニュー]画面に通知が入る。
それは『プログレス』を持つ原人たちにも同時に……本当、便利になったよな。
どうやらこれまでに侵攻と防衛が繰り返されてきたエリア、それらの配置換えが八日目で行われるらしい。
配置換えは区域ごと行われるため、侵略済みな場所も隣接する魔獣の本拠とセットで移動するようだ。
「まあ、角同士なんかだと絶対に接触するのも最後の最後になっちゃうだろうし……しかしその配置換え、いったいどうやって実行するのでしょうね」
「──ええ、不思議ですね」
「……聞いていましたか。というより、全員の声をいつも聞いておりますよね?」
「いえいえ、そんなそんな」
裏切り者たちが隠れているのは、今回の配置換えの対象に含まれない裏の領域。
空間を操る魔獣の領域にして、魔獣そのものの腹の中。
そりゃあ中でどんな会話をしているかなど筒抜け、常時監視状態のようなもの。
外に出ればその限りでは無いが……監視できない、とも言ってないんだよな。
「配置について何か情報は?」
「そうですね……偶然、同盟に属する魔獣の方々とそうではない方々で、配置が偏る可能性がありますね」
「そんな偶然もあるのですか……ちなみに、どちらにも属さない中立地帯は?」
「さて、どうでしょうね?」
一番聞きたかった情報は、残念ながら教えてもらえなかった。
というかわざとだな……家族の安全が守られるかどうか、そこが重要だったのに。