特殊耐久サバイバル部門後篇 その19
特殊耐久サバイバル部門後篇 その19
自らの領域内を把握している空間の魔獣。
その情報収集能力を探った結果、全部が全部バレているわけではないと調べられた。
が、家族へ情報を送ろうとしていた辺りはバッチリ知られてしまっていたようで、配置換え後の調査でもっとも苦難が待っているだろう非同盟所属の魔獣の領域へ飛ばされた。
「ここが氷原……すでに寒いですね。皆さんに保温のポーションをお配りします、ご入用の方はすぐに使ってください」
それなりに耐寒系のスキルを育てているものならいいのだが、普段は装備やアイテム頼りだった連中にはかなり堪える。
だからこそ、俺はそれに適したアイテムを準備しており、彼らへ配布していく。
……無論タダではない、むしろ無償は相手の方が訝しむのでやらないスタイルだ。
そうして準備を終えると、彼らのほとんどが周囲を散策するために洞窟の外へ。
一方の俺は外には出ずに、一先ずは彼らの帰還後に備えた準備を始める。
「火山の鼠の素材を使った、『火鼠の火衣』で火種を準備っと……あと、周囲を識別型の結界で守っておきましょう──“ 極小火 ミニマムファイア ”」
皮衣を素材として作り上げたアイテムに、魔法職なら誰でも使える小さな火を燈す。
すると、皮の表面に火が点く──しかしそれは皮を焦がさず、消えることなく燃える。
魔獣の、火属性への適性が尋常ではない素材を使っているのだから当然だ。
一度付ければ特殊な消火剤を使わない限り消せない、そんなアイテムとなっている。
周囲がそれなりに温まったことを確認した後、結界構築の魔道具を設置。
裏切り者の参加者たち、彼らの情報を登録してあるので、彼らだけが入れる。
これがもし人族という制限だと、一般参加者たちも入れるからな。
それでは揉めること間違いなしなので、多少揉めてでも情報の登録をさせておいた。
「上手く利用すれば、勝手に収納の魔道具を開くなんてこともできてしまいますから……他の方を信用しない人は嫌がって当然と言えば当然でしょうね」
まあ、強引な手段をありとするなら、そんなもの無くとも開けるんだけれども。
そんなわけで、彼らの情報を悪用するつもりは無い……今のところは、な。
「あと、小型ドローンと微精霊を配置しておこうかな……やり過ぎるとアレですので、あくまでこの周りに限って」
《畏まりました。防寒仕様のドローンを周囲に展開します》
再び独り言の体で呟けば、『SEBAS』が適切なドローンを取り出してくれる。
そうしてやることを終えた俺は、時間を潰すべく生産活動に勤しむのだった。