特殊耐久サバイバル部門後篇 その20
特殊耐久サバイバル部門後篇 その20
氷原の探索……には赴かず、転移用の門の前で拠点造りに勤しむことに。
消えない火と識別型の結界、加えて周囲警戒用のドローンと微精霊を設置してみた。
「……うわぁ、行かなくて良かった」
ふと、外が騒がしいと思い、洞窟の外に待機してもらっていた微精霊と視界を共有。
すると、広がる光景が切り替わり──豪雪の中、雪煙が巻き上がるのが見えた。
吹雪く中で見えるのかという話だが、そこは魔力を帯びているからと言っておこう。
結界の外側に居る微精霊の、魔力を知覚する視覚を用いているからこそ分かること。
そもそも、領域の中にあるものすべてが、支配する魔獣の影響下にあると言っても過言では無いのだ……吹雪く雪の一つひとつ、魔獣の力が籠もっている。
「それこそ、あちらの領域と同じくすべてを網羅している可能性だってあるわけですし。あまり目立った行動はしないに限ります」
ちらりと見るのは、洞窟の中にあるのがあまりにも異質なオブジェクト。
逆に言えば、これから離れて外に行けば隠し事がバレる可能性も下がるかもしれない。
それでも離れなかったのは、死ぬ可能性だけはここに居る方が低いから。
監視の目に晒されるというストレスさえ気にしなければ、だけれども。
「…………おや、お客人ですかね」
『チッ、結界が張られてやがる……おーい、ここを開けてくれないか!?』
微精霊と繋げていた視界が、外部からやってきた者たちを観測した。
すぐにエクリの聴覚を研ぎ澄ませれば、吹雪の中でも客人の声を聴きとれるように。
人数は六、どうやらパーティー単位でここの探索を行っていたようだ。
そして、俺の対応はというと──何もせずに聞かなかったことにする、である。
『お、おい、聞こえてるだろ! ……聞こえてるよな? おい、返事をしろよ!』
何やらトラブルを抱えているようで、結界の膜を叩く一人以外はかなり疲れていた。
中には肩を貸してもらうほどの重症者も居るのだが……うん、それでも無視。
俺一人で行動していたなら、ポーションの提供で善行稼ぎをしていたかもしれない。
しかし今の俺の所属はどちらかと言えば悪役側──彼らに、判断を委ねるとしよう。
「……さて、どうなりますかね」
拠点から離れた場所から、次々と戻ってくる裏切り者たち。
そんな彼らが、一般参加者を……しかもだいぶ弱っている状態で発見した。
結果、彼らがどうなったのかはあえて語る必要も無いだろう。
ただ一つ挙げるなら──俺が迎え入れたのは、裏切り者たちだけだったということか。