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特殊耐久サバイバル部門後篇 その29

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特殊耐久サバイバル部門後篇 その29

???(空間領域)

襲ってくるであろう氷原の魔獣、そしてそれを呼び寄せた『白氷』を同時に相手取ることなんてできない、俺は帰らせてもらう! といった流れで脱出を図った。

フラグだから失敗……なんてことは無いように念入りに、『SEBAS』が隙を完璧に埋め尽くした状態で術式を起動──影の門を介して転移に成功する。

「……危ないところでした。ええ、今回ばかりは。とはいえここから先、こんな出来事が何度も起きるのでしょうね」

「ふふっ、そうなるでしょうね。お疲れさまでした、まさか魔獣様を別の領域から引っ張り出してくるとは……さすがは権能を持つ逸脱者たち、といったところでしょうか」

「……たち、ですか。まさか、他でも?」

「そうじゃありませんよ。アレはあの妖精だけでも、そして貴方様だけでも決して起こり得ぬことでした。場と目的、それらを満たしたからこそ彼の魔獣様は動いたのです」

「なるほど、そういうことでしたか」

その言葉をそのまま受け取るなら、場と目的──『白氷』が周囲を氷原に近しい環境にしたこと、そしてなぜか分からんがそこに俺が居たことで、魔獣がやる気になったのか。

「なぜ、私なのでしょう?」

「お忘れでしょうか? 貴方様はすでに、数多の魔獣様をほぼ単独で討っております。ふふふっ、だからこそ求められるのですよ」

「……確認ですが、魔獣を討つと何か目印でも付けられるので?」

「ええ、ええ、その通りですよ。この催しのルールの一つでして、たとえ集団で討った場合でもこのルールが適応され、ただ未討伐の参加者を討つよりも、魔獣様討伐に協力した参加者からの方が多くの力を獲得できます」

魔獣は固有種に匹敵する強さを持つが、討伐しても 遺製具 レリック などは生み出されない。

その生成には一部の経験値も使われているため、レベル上げに使える分が減っている。

だからこそ魔獣討伐の方が、ある意味固有種討伐よりも得られる量は多いのだ。

──と、ここまで語ったが、このイベント中に限っては例外が起きている。

その一部が別枠で保存され、イベントの最終成績直前まで残されるのだ。

そして、それを保有する参加者が討たれれば、討った相手に移譲される。

奪い合い、あるいは救済か。

魔獣たちが仮にすべて討たれた場合は、参加者同士で殺し合うことで一発逆転のチャンスが残っているわけだ……うーん、悪辣。

魔獣もまた、自分たちで他の魔獣を討たずともそうしてリソースを奪うことができる。

だからこそ、参加者たちと協力する──ここぞで裏切り、裏切られの心理戦だ。