特殊耐久サバイバル部門後篇 その35
特殊耐久サバイバル部門後篇 その35
樹海の魔獣を裏切り者たちと力を合わせ、討伐することに成功した。
俺はあくまでアシスト、彼らが頑張ったからこその結果だ。
「……おいおい、マジかよ」
だが、彼らの中の喜びは薄い。
それ以上に強い衝撃が、アナウンスの直後に届いたからだ。
≪討伐完了──『植物』の領域が空白地帯となりました≫
≪討伐完了──『草原』の領域が空白地帯となりました≫
≪討伐完了──『海原』の領域が空白地帯となりました≫
一気に討たれた魔獣たち、その中には同盟に属する魔獣も含まれている。
つまり、彼らを護るために配置された裏切り者たちもまた、同様に討たれた可能性も。
そんな状況だからこそ、純粋な歓喜などすることもできなくなってしまう。
いったい何があったのか、そう戸惑っているわけだが……俺は当然知っている。
「…………やはり、動きましたか」
先日より参戦が決まった逸脱者たち。
個の力ですべてを圧倒する権能使いたち、彼らが来れば戦況も大きく変わる。
それは同時に、今まで守りに用いてきた力も攻めに使えるというわけで。
ショウやマイ、そしてルリも戦うことができるようになったのだろう。
そんなわけで、魔獣たちは参加者たちの反撃を受けて滅ばされていったわけだ。
空白地帯は中立地帯へ書き換わり、参加者たちの活動圏が拡張されていくことだろう。
「皆さん、あとのことは上にお任せして、一先ず撤退しましょう。最悪、それらを成し遂げた方々と同等の者たちが、ここを占拠しに来る可能性があります」
「っ、そうだったな。よし、さっさと引き上げるぞ! ……って、おいあんたは!?」
「私は後から向かいますので、ご心配は無用です。少し、時間稼ぎをしておきますので」
「そうか…………死ぬんじゃねぇぞ」
なんて会話をした後、裏切り者たちは門が設置された『沼地』の領域へと向かう。
一方、俺はただ佇むのみ──死の警鐘が示す、待ち人を迎えるために。
「お待ちしておりましたよ、愛しき息子よ」
「父さん……えっと、何その口調」
「ははっ、いつもこうではありませんか。それよりも、独りで来たんですね」
「……そっか。うん、今はね。父さんがここに居るのは分かってたし」
現れたのは息子であるショウ。
偉い人たちには不評な敬語に訝しんでいたようだが、そちらは超小型ドローンを介して説明を『SEBAS』がしてくれた。
空間の魔獣は、俺を監視している。
見せ札しか開示せず、常にこの口調なのもそれを意識してのもの。
「それで、どうしますか? 私と一戦、交えますか?」
「うーん。独りで居るときにするのは、さすがに不味いって分かるし。そうだ、情報交換とかどうかな?」
「こちらにも立場がありますし、あまり多くは語れませんが……いいでしょう、少しお話しましょうかね」
そうしてくれ、という誘導もあるのでこういう話の流れになる。
無論、それは誘い──裏切り者の裏切り者に、どういう対処を取るのだろうか。