特殊耐久サバイバル部門後篇 その38
特殊耐久サバイバル部門後篇 その38
??? 空間領域
人と魔獣の戦いは人側が優勢に。
それは数の力ではない、圧倒的な個の力が人側に追加参入したからだ。
結果、残された魔獣は『火山』と『空間』しか居ない。
そのうえエリアに存在するのは火山の支配領域だけなので、そこの防衛が必須だった。
「そう、こうなるんですよね……」
いちおう最初に結んだ取り決めで、俺は家族が戦場に出てくる戦いに出る必要は無い。
なので防衛戦の様子は窺うだけにして、代わりに別の作業を行っている。
「本当によろしいのでしょうか? もう後戻りはできませんが……」
「ふふっ、心にもないことを。ええ、すべては予定調和。始まりより決まっていたことですので」
他の協力者たちは、すでに戦場に駆り出されている。
残された俺、そして空間の魔獣の遣いのみがソレを見ていた。
「──魔獣たちの複製体。強力な個体で行うのは、人だけでなく星も禁忌としていることですよ」
巨大なガラスを満たす培養液。
その中で浮かび漂っている、すでに滅ぼされた魔獣たち……すべてでは無いが、素材を手に入れていた個体は培養できた。
すでに数の力で劣る俺たちの、最後の抵抗がこれだ。
魔獣は一体ずつではない、量産体制に入ればいくらでも追加可能である。
「獣に理を語りますか……」
「人として振る舞う、それだけの知性をお持ちですので」
「……単純な話、これだけしてもなお星々の判断は変わらないのですから仕方ないでしょう? 圧倒的な個、それらを同時に相手取ろうと勝つことのできる最高の最強。あれらが投入されれば、そもそも無意味な話です」
「まあ、たしかに。私の知る一人があそこに混ざるだけで、この程度の策はすぐに潰えるでしょうね」
星々は二種類の力を公表している。
一つは星具を有する【勇者】、そして星の認めた権能を持つ逸脱者。
──その中で『騎士王』、冒険世界の逸脱者である彼女はある意味その両方だ。
星具である剣と鑓を有し、権能も冒険世界最高峰の代物。
そして、休人たちをも上回るレベル、文字通り最高戦力といえよう。
「『生者』様の御考えでは、いつ頃投入されるとお思いですか?」
「まあ、これをあちらに出したところで何もしてこないでしょう。おそらく、貴女の本体が出た時でしょうね? ……それだけの実力があるのですから、当然です」
「そのように評価していただけるなんて、本体も光栄でしょう。では、何体か投入していきましょうか……間もなく、魔獣様が討たれてしまいますので」
「おっと、それはいけない。さっそく転送していきましょうか」
培養装置を弄っていくと、中の培養液が排出されて複製魔獣たちが落ちていく。
だが向かう先は床ではなく、空間の魔獣が開く穴の先──火山の支配領域だ。