特殊耐久サバイバル部門後篇 その47
特殊耐久サバイバル部門後篇 その47
鏡の指輪が映し出すのは、【闘神】にして『極拳』の権能を有する『超越者』。
一番最初に彼の力を複製した、その理由はすぐに明らかになる。
「──“我闘無敗”、“戦歴軌績”」
前者はバフ能力。
格上に挑み勝利を重ねるほど、無尽蔵かつ半永久的な強化が施されるチート級。
ただ一つ問題があるとすれば、相手が格下の場合は基本的に発動しない点。
……だがそれを、もしも世界最弱の生物が使用すればどうなるのか。
「──魔物をお願いします」
「! すぐに魔物を排除しろ!」
「ヤベェぞ、一体でも殺されたら滅茶苦茶強化されるぞ!」
俺の目論見に気づいた『騎士王』、そして本来の使用者ゆえ詳細を把握できる『極拳』だがもう遅い。
空間の魔獣は監視を続けている。
それはこちらを手助けするためというか、何かあれば即座に空間を閉鎖して時間稼ぎをするためであろう。
だが、逆に言えば俺への協力で更に時間が稼げるならば、多少は手を貸すということ。
それも、片手間以下の処理で済むような簡単なお仕事ならなおのこと。
周囲に突如、魔物たちが出現。
空間を歪め、これまでストックしていた時間稼ぎ用の雑魚を大量に放出してくれた。
感謝……はしないが、そこはまあ上手く呑み込んでおこう。
周囲の闇を『SEBAS』が操作、円錐のように尖らせて魔物たちを刺し貫いていく。
「力が……湧き上がってくる!」
「なんとも陳腐な小悪党のような台詞だ」
「でしょうね……ですが、仮初であろうと彼らは力を得ていますよ──このように」
最上位職が、たった独りの強者にのみ与えられるような極上のバフ。
本来であれば厳しい発動条件も、ありえないはずの弱者による使用で強行突破。
一体倒すだけで固定値の補正が加わる。
……どうやら種族レベルの合計が、そのまま身・能力値に加算されるようだ。
あまり多くは倒せなかったが、それでも母数が膨大だった。
そのほんの一割倒しただけで、俺のスペックはゲーム終盤のラスボス級に高まる。
「さて、ここで皆様にお見せしますは一つの演武。どうぞお楽しみください──“彷徨う中で、挑戦者いざ行かん”」
《──“乱雑転移”及び闇による『転移』、併用を開始します》
詠うは擬・武神流。
転移を前提とした、対強者用戦闘術。
ランダムでの転移術式に加え、周囲の闇を利用したエクリの擬似転移。
前者は妨害されづらいが行き先が不明、後者は場所は安定しているが相手が対策済み。
それらを『SEBAS』に任せ、俺は戦闘に必要な術式を頭の中で考える。
動きそのものは体の方で勝手にやってくれているのだ、意識するのは思考のみでいい。
──その時、俺の掌の中では鏡の指輪が握られていた。