特殊耐久サバイバル部門後篇 その49
特殊耐久サバイバル部門後篇 その49
次に複製したのは、『八大星魔:界樹の神子』の権能。
そして、複製に成功したレアもの星樹の枝と権能を組み合わせ──急成長術式を起動。
「うーん、これこそが本来の姿ですか」
首が痛くなるほど、上へ伸びていった樹。
現在、俺以外のすべてを対象としてその根が振り回されている。
反撃に転じようとする者がほとんどだ。
しかし、攻撃はその根に一蹴され破壊できないまま拘束される者が現れだす。
星樹とは、世界樹と似て非なる存在。
俺も初期状態の物であれば:DIY:を介して得ることができていたが、今回媒介としたものは正真正銘長い年月を経た代物。
溜め込んだリソースが桁違いなのだ。
それゆえに、たとえ逸脱した連中が権能を使用しても払い除ける──星々の威を無力化するだけの、星の力を秘めている。
「権能の補助、そしてイベント限定のスペックが無ければ難しかったでしょうけども……それでも、短時間が精一杯ですね」
大量に用意したポーションを、ドローン経由で自動供給することで持たせているが、自然回復量では賄えないほどに、必要コストが掛かっていた。
だがそれでも、逸脱した連中を一度に封じられている現状は大変素晴らしい。
このまま何も無く終われば……と甘い幻想に浸りたいが、そうもいかないのが現実。
「────!」
『動きは停めたよ!』
本家本元、『八大星魔:界樹の神子』により星樹の一部制御が奪われた。
しばらくすれば取り戻せるだろうが、彼らにその一瞬の時間を与えるだけで致命的。
瞬時に動き出した逸脱者たち、根本に居る俺に向けていっせいに攻撃を始める。
この時、いくつか取れる選択肢はあったのだが……俺はこれを選ぶ。
「“瞬間切替”」
指輪の──『プログレス:ミラーリング』唯一の問題点、それは一番最後に装備した指輪の情報しか発揮できない点。
つまり、最初に複製した『超越者:極拳』の力を今の俺は使えない。
元に戻せば再使用は可能になる、ただし今度は『界樹の神子』の権能がダメに。
そして、俺は星樹の制御を諦めた。
後で取り戻す頃には、最悪俺が討滅されている可能性があるから──まあ、最後の手段として一気に力を解き放っておいたが。
おそらくは『界樹の神子』によって無力化されるであろう自爆。
なのでそちらは無視、代わりに【闘神】の“戦歴軌績”で迎撃の優先度を確認する。
「仮面もそろそろ限界ですね……ええ、どうか最後までお付き合いください」
剣と鑓の二刀流、それは『騎士王』を演じる俺の最大限。
ただ、勝つことは絶対に無理だ……生き延びるため、俺は武器を振るい続ける。