神様談(28)
神様談(28)
人々には観測不可能な、高位の存在が住まう領域──神域。
そこに住まう者たち、その中でも名を失った神話に属する者。
本来、忘れさられた神話は弱体化し、いづれは力をも失う運命にある。
しかし彼らは違った、名を失ったままだが力だけは取り戻しつつあった。
「何というか、アレだよね」
「アレとは?」
「ツクル君が異常なほどに強い……じゃないか、ヤバい」
「それは……たしかに」
先日行われた闘技大会イベント。
彼らもこの場所から観戦することになったのだが、失名神話唯一の正式な使徒でもあるツクルの活躍は、彼らにも影響を与えた。
「今回のツクル君は名前を隠したり、そもそも失名神話を名乗っていなかったりだけど、それでもツクル君自身に向けられた感情の一部がこっちに来るからね。うん、ほぼ優勝したり普通に優勝したり、おかしいよね?」
「おかしい、と言われましても……彼をあのような状態で送り出した私たちに、それを咎める資格はありませんよ」
「アレはツクル君自身の主張なんだし、実際上手くいったんだからいいじゃん……でも、たとえどんな要望でも、というか普通にこっちに来ていても、何だかんだツクル君は有名になっていた気がするんだよね」
「……そんな気はしますね」
ツクルはEHOを始めるに辺り、初期設定の担当を務めた彼女──◆◆◆◆に無茶な要望を提示した。
それを面白がった創造神──■■■によって、特大の縛りプレイを代償として、万物創造の力──のごく一部──を手にしている。
当人はそのスキル:DIY:にそれだけの力があることを知らなかったし、ましてやそれが神由来のモノだとは知らなかった。
特大の代償により、決して強者となることはできない……そう思われていたツクルは、彼らの想像を遥かに超えた功績を示す。
救済を諦められた星を救い、虚弱な体で死の神が施す試練を突破。
神すら手を出せずにいる願望機を解析、擬似権能と新たな神族を世に広める。
そして、星敵。
一種のマーキングにより実力者から狙われるようになろうとも、持ち得るすべてを費やし一度として討たれることなく生還した。
「まあ、体的には数え切れないぐらいに死んでいるんだけれど……改めて、そんなツクル君が自分で言う通り普通だと思う?」
「思いませんね」
「彼の場合、あのアズルちゃんが居るからその影響もありそうなんだけど……そもそもの気質っていうか、何か素質があるのかな?」
「どういったものかは分かりませんが、たしかにありそうです」
少なくとも、ただの凡人は神に見守られる女性を手にすることなどできない。
あらゆる苦難困難を跳ね除けることもできず、耐え忍び彼女を振り向かせた。
彼らは神であっても万能ではない。
ゆえにツクルにナニカあるのかどうか、それは神であっても分からないのだ。