星樹接ぎ木 後篇
星樹接ぎ木 後篇
神・世界樹 最上層
星樹の枝を神・世界樹へ差し木してみた。
システム的にそれを承認したところ、突然の発光と生長が起きる。
「いやはや、まさかこんなことになるとは」
『これが……アイスプルなのだな』
「ええ。我々の世界では、地球は青かったという言葉が有名ですね。まあ、続きとして神が居なかったと言っているのですが……」
『そうではないと、貴様自身よく知っているだろう』
「はい。ですので、こう言っておくべきですかね──アイスプルは青かった、だが神は見つけられなかったと」
空から神々が見守ってくれている、というのであればその否定をしてしまった人類。
だがEHOにおいて、どうしてそうなったのかを俺は知っている。
俺たちは上層から、接ぎ木の作業を見届けていたはずなのだが……生長の過程で、上層はそのまま上へ持ち上げられ、最上層という扱いになったと[マップ]が教えてくれた。
「宇宙樹としてここ、最上層へ向かうとこちらに辿り着きますが……ええ、もう一つの道であれば違うのでしょうね」
『行くなよ、絶対に向かうでないぞ!』
「……ははっ、さすがの私も遠慮したいところですね」
神・世界樹、それは世界樹が辿り着く進化の方向性を、神との親和に定めた形。
これまではその力は、あくまでも彼らからの信託や加護などに留まっていた。
しかし今回、星樹をリンクさせた影響なのだろう。
感覚的に、そして【救星者】が脳裏に示していた──ここから神域へ向かえると。
「間違いなく、麓から手順を踏めば行くことができるでしょう。ですが、そこが我々の崇める神々の神域かは不明です」
『だが、神域であることに違いはない。決して粗相の無いよう注意しなければならん』
「家具などはどうしましょうか? そうだ、風兎のコレクションを──」
『だ、ダメだ! あれは……そう、偶像を見せるなど神々に失礼であろう! うむ、アレはきちんと保管しておくのでな、貴様は神々に奉納する物を至急整えるのだ!』
風兎が焦るのは、かつてコラボイベントで手に入れたアイドル育成ゲーム、アイラブのグッズを奪われることを懸念してだろう。
だがまあ、失名神話の神々にはすでに奉納済みだからなぁ。
というか、捧げもの自体はこれまでもやってきていたし……何か欲しい物があるのか?
そんなことを考えていたのだが、その答えはすぐ目の前に。
どこからともなく降ってきた、一枚の紙が俺の掌に。
「『…………』」
そこには『ツクル君へ、創造神より』と書かれた手紙が。
……どうやらここでの会話、全部筒抜けになっているようです。