能力値底上げ計画 前篇
能力値底上げ計画 前篇
生産チートの極み、:DIY:の新たな能力である複製の検証を済ませた。
対価として固有種たちの素材を捧げれば、大抵の物は高レートだが用意可能らしい。
「:DIY:終了っと……何とか全部、消化することができたな」
検証に用意した素材(生成物)は、能力終了と共に加工していない物はすべて消失してしまうのが、:DIY:の制約だ。
さすがにそれらをすべて無駄にするのは、そもそも素材を提供してくれた住民たちにも悪いため、きちんと加工して人族の装備として加工しておいた。
彼らは魔物なので人化できる個体以外が使うことは無いのだが、それらは偽装大陸で今後行っていく観光業において、売り物として使われる予定なので問題ない。
《加工品はすべて街に転送しておきます。人形たちに指示し、品質や素材に合わせて店舗へ配置する予定です》
「ああ、その辺は任せてあるからな。上手い具合にやっておいてくれると助かる」
《畏まりました》
経営には向いていない俺のざっくりな発言も『SEBAS』は受け入れて、求められているもの以上の成果を出してくれるので大助かりだ。
「さて、と。闘技大会やらサバイバルやらを終えて、またいろいろと考えさせられることがあったな……特に最後、やっぱり俺個人として強くなるのは難しいなぁ」
チート過ぎる:DIY:の代償の一つ、俺は 魔力 MP と 技巧 DEX 以外の身体スペックが決して成長することはない。
一時的な強化などは可能なのだが、それも供給源を断たれれば元通り。
すでにそこを突かれ、強化状態を破棄されたこともかつてあった。
「こう、摂取することで能力値の基礎値を上げられる……不思議な種とか木の実とか、そういうのが無いモノかね」
《寿命や魔力を増やす、といった伝説上のアイテムであればございますが……》
「……ああうん、そういうのはあるしな」
アイスプルに存在する、神・世界樹に実る多種多様な花々や果実。
それらの大半が、神話や伝説に語られるような特別な力を秘めている。
だがそういった代物でも、俺を虚弱体質から解き放ってくれることは無かった。
いつもそれを補うナニカを探し、必ずと言えるほどトラブルに巻き込まれるんだよな。
「いつも通り『騎士王』に聞いてみるか? 何もしないよりかは、マシだろうし……」
そんなわけで、さっそく訊いてみよう──
◆ □ ◆ □ ◆
冒険世界 始まりの街
冒険世界最高の戦力、それが『騎士王』。
一国の王である彼女はとても多忙で、どれほどの権力者であってもそう易々と彼女と会うことは許されない。
「──来たか、『生者』」
「……連絡、まだしてないんだが?」
「ふっ、貴公のことだ。今回の戦いから何か学び、我に聞きたいことがあることは想定できる──相応の対価は、無論用意してあるのだろうな?」
「それも込みで、きちんとやってくるから少し待ってろ。今回のはまた、いつもとは違うからな」
「! ……それは期待できそうだ」
なんてことを言いながら、俺が向かう先は馴染みの串焼き屋。
俺と彼女はいつも、この場所で密(かに食事)会を行っているのだ。