能力値底上げ計画 後篇
能力値底上げ計画 後篇
冒険世界が誇る最高戦力、『騎士王』に聞いても件の問題は解決しなかった。
休人の肉体は理論上最高、超ハイスペックな仕様になっているからな。
「……せめて、最上位職に何個でも就けていれば良かったんだがな」
「──それを、この我が見過ごすとでも?」
「冗談だよ。お前さんの眼を出し抜くことを企むぐらいなら、もっと別の方法を考えた方がマシだろう」
最上位職には人数制限が存在しており、その就職には試練が設けられている場合多い。
失敗すれば死ぬこともあるその試練を、やり直せることができる休人のメリット。
ゆえに多くの休人がそこに手を掛け、最上位職に就いている。
──ただしそれは原人たちと同じ枠を共有しているので、実質的に機会を奪うと同義。
ここで重要なのは、そういった独占に対する処置がすでにEHOには存在する点。
一定期間、最上位職に経験値がいっさい注がれない場合などにそれは機能する。
結論から言うと、最上位職は休人であろうと剥奪される可能性があるのだ。
他ならぬ目の前の彼女──『騎士王』にはその権利があり、資格がある。
「って、今は能力値の話だ。内側からのアプローチもダメだし、外側からもダメな俺はどうすればいいんだ?」
「諦めるしかないのでは? そもそも、万能の才を持つ貴公らの肉体でも支えきれないほどの力を持つからこそ、貴公はそのような状態なのだ。それを活かし、伸ばすことこそが本来あるべき姿なのだろう」
「大人しくしていろ、ってことか?」
「……星敵である貴公が、むしろ力を付けて何をする? 望むままにという理由なのはすでに聞いて呆れているが、本来の星敵ではありえぬ思考であろう」
星敵、読んで字の如く星の敵……ではないのがこれまた特殊なところ。
俺の場合、アイスプルが任命した星敵だが別に星と敵対しているわけじゃないのだ。
むしろ【救星者】として管理者を務めていたりするし、殺し殺されなんてことも無い。
世間一般の認識として、星敵に選ばれるのが少し頭のネジが外れた連中という話だ。
「ふぅ……こればかりはどうしようも無い。言っておくが、我らが星を護る『超越者』としての使命で貴公を全力で屠りに行かぬのも現状があればこそだ。その気になればいつでも屠れる、その虚弱さを大切にしろ」
「あんまり嬉しくないが……公的にはそう示しておいた方がいいってことか。むしろ、大義名分が無くなった場合が恐ろしいと。納得はしたくない……が、しょうがないか」
俺は弱いと自認しているが、俺と敵対した者はそう思っていないのが事実。
死んでも蘇り、またありとあらゆる手段を尽くした俺は滅ぼされずに生還する。
その不死性により、最終的な決着として逃げ切っているからだ。
それを野放しにするのは、星が全力を挙げて潰そうと思えばできるため。
──という建て前を、主張できる状態にあるからこそ。
つまり、俺が強くなったらそうではなくなるのだ…………永遠に強くなれないじゃん。