能力値補正 前篇
能力値補正 前篇
アイスプル
結論、能力値の底上げが可能なアイテムは存在しない。
そう『騎士王』に告げられた俺は、渋々ながら納得する。
裏技的な方法として、最上位職に就けば理論上どこまでも強くなれるのだが……それをやると、『騎士王』だけでなく他の連中も敵対することになるので諦めた。
「まあ、ゼロに何を掛けてもゼロ……っていうのとは少し違うけど、限りなくゼロに近い数値に補正を加えても、あんまり意味は無い気がするよな」
システム上、俺の魔力と技巧、あと運以外の数値はすべて1だ(運は0)。
だが実際の数値は小数点以下が途方もなく続くもので、ほぼゼロと言って過言は無い。
「内側は諦めるし、最上位職や装備頼りも無しってなると、やっぱり上級までの職業とスキルってことになるんだよな」
本来、自らの器に見合ったものを組み込み強化を図る職業とスキル。
俺の場合、外付けの職業を経由して器に収められない職業群を入れることが可能だ。
だが、スキルはそうではなかった。
職業と紐づけられたものはイイのだが、スキルはもう収まらない……初期、:DIY:のリソースを使った鑑定スキルしか無い。
「スキルの中には、加算式のものもあるって情報があるからやってみたかったんだが、これだと無理だよな……」
装備品のスキルではあるが、ダメージの軽減と減少という二種類が存在する。
前者はダメージから一定数を引き、後者はダメージから一定割合を減らす。
前者は最大量に達していなければダメージが入ってしまうし、後者もダメージそのものは必ず受けてしまう。
だが二つを兼ね揃えていると、総ダメージ量を減らしたうえで、無効化可能なレベルでさらに弱めるという所業が可能になる。
これを自身のバフに当て嵌めれば簡単だ。
ある程度足が速くなる加算式のスキル、そして本来の速度をさらに高める乗算式のスキルの組み合わせが非常に役立つ。
「……って言えるのは途中までなんだよな」
育っていない状況では乗算式は効果を発揮せず、ある程度強くなれば加算式も大して意味が無くなる。
加えて、乗算式には限界値が設けられているモノが多いため、極限まで強くなった者的にはそれはそれで不要となる……それ以上に強くなれば、自然と数値は上がるからな。
そして、わざわざ補正を増やすぐらいであれば、もっと別の装備に組み込んだ方がイイと言う者も居る。
「何よりこれが一番重要なんだが、俺が何だかんだ相手取っている連中レベルの敵に、そういう小細工はあんまり通用しない」
どいつもこいつも人並外れた実力の持ち主なので、多少力強くなったり足が速くなった程度で勝てるほど甘くは無いのだ。
それこそ、職業スキルの数だけ強くなれれば良かったのだが……職業スキルはほとんどが、乗算式なんだよな(職業レベルに比例した補正を発揮させるため)。