能力値補正 後篇
能力値補正 後篇
基礎能力値、それは種族によって大きく変わるもの。
だがそれ以上に、人族と魔物で大きな隔て利があるほどに差が存在する。
それを埋めるために存在するのが、職業やスキルによる能力値補正。
スペックの差を埋めるため、人族に与えられた恩恵……俺はほぼあやかれてないけど。
「そうなんだよな、魔物たちはそもそも素の能力値が高いから職業に就かずともある程度の強さを有している。だからこそ、うちの世界の住民たちはなおのことヤバい」
魔物は人族と違い、職業システムにより得られる職業の器を落とし込む場所が無い。
なのでたとえ人族の拠点を制圧し、職業を得る手順を踏んでも就職は不可能だ。
進化の過程で『戦士』や『魔法士』など、職業名を冠する個体となる者も居るのだが、あれも実際に職業に就いたわけではなく、限りなく器をソレに近づけているに過ぎない。
だがごく稀に、これまでも魔物が職業システムの恩恵にあやかる実例があった。
要は職業システムを入れる場所が、魔物の中に存在すればいいのだ。
そして現在、『プログレス』の登場により極めて珍しかったその事象が、使用可能な個体であれば誰でも再現できるようになる。
擬似権能がシステムに作用、職業の恩恵を受け取れる場所を確保することで一つだけではあるが、職業に魔物であっても就くことができるわけだ。
と、ここまで長く語ってきたがここからが本題である。
人族だけの恩恵、基礎スペックの差を補うための職業システムを魔物が使い始めた。
しかもアイスプルの個体は、どいつもこいつも固有種やら突然変異レベルの特殊性を秘めているような奴らばかり……そう、つまり基礎値など当然とばかりに桁違い。
「まあ、現状だと上級職までしか就けないから、人族の上澄み連中が相手となるとどうなるか分からんが……それ以外だと、休人相手でも割と無双できる気がするんだよな」
権能持ち、そして外付けの器として他の成長に影響を及ぼさない最上位職持ち。
彼らはそこを得るだけの才を持ち、そのうえで強くなるので相応の補正値を得ている。
だが上級職だけでは、同じく上級職に就いたうちの連中に確勝はできないだろう。
兵器を使って倒す大怪獣が、バッチリ全身鎧を纏っているようなヤバさだし。
「スキルは増やせない、職業の恩恵はほとんどない、これ以上基礎値を増やすこともできない…………うん、諦めるか」
《何か進展がございましたら、ご報告いたします》
「頼む。最悪、エクリやアリアの力を借りればいいわけだし。ふぅ、ままならんな……」
すべてを独りで解決できる、というのは創作物の中だけの話だ。
誰かに頼って頼られて、そうして強さは補われていく……のかな?