装備補正 前篇
装備補正 前篇
基礎値を増やすことができず、魔物たちのように職業が無くとも強いわけでもない。
従魔でも職業の恩恵で強くなれるこのご時世、俺の虚弱さは一際強調されている。
そんなわけで、アプローチを変えることにしてみた。
基礎値の永続的向上は諦め、道具の補正値で補えるかを試してみる。
「──というわけで、出来た装備がこちら」
普段使いをしている星具一式と違い、魔物の素材を用いて作られた装備品。
チートに近いレベルの特殊効果など存在しない、高級品店に行けば並ぶような代物。
重要なのは特殊効果ではなく装備補正。
希少度の高い装備品、また 遺製具 レリック などの多くは装備補正が加算式ではなく乗算式になっている。
これは基本的に使い手が強い、あるいは強くなるという前提で、高い能力値を更に高めるための仕様だな。
「装備補正は基本的に、基礎値にスキルや職業補正が加わったあと、それから補正の計算が入るんだっけ?」
《はい。加えて現在は、『プログレス』の補正計算も装備補正の前に行われています。また、外部からのバフなども装備補正の前に計算が入ります》
「つまり、基本的には一番最後ってことになるのか? まあ、こういう装備があるってなるとそれも仕方なく感じるが」
手に持ったソレは、魔獣でも固有種でもない、魔物の素材から作った防具。
だがそこに付随された装備品の情報、そこには防御力を10000加算するとある。
「まあ、装備の補正は当人に関係無い仕様だしな。装備がカバーできる範囲限定、この籠手ならギリギリ腕ぐらいまでか……ファンタジーのある意味定番、ビキニ鎧なんかは全体に行き届いているだろうけど」
《アレはアレで、職人が生み出すのであればかなり高度な技術が必要となります。それゆえに、主流は迷宮から産出される最初から完成された物となっています》
加算式か乗算式か、それを決めるのは装備品の在り方だ。
会話にあったように、加算式は基本的にその装備が干渉できる範囲しか効果が無い。
まあつまり、靴などに技巧の補正が入るように仕込んだとしても、足先の器用さが上がるだけで、それ以外の部位には何ら影響が及ばないというわけだ。
乗算式もある程度そこは同じなのだが、能力値自体に作用しているため、肉体の強度にも若干の影響が入る。
まあつまり、加算式は装備品で攻撃を受ける分には無力化できるが、俺自身が体のどこかで受けると普通に死ぬということ…………実際には受けた反動というか衝撃で死ぬぞ。
「対する乗算式なら、装備自体の影響があるから、装備が破損しても使用不可になっていない限りは防御力なんかも補正が入った状態で使えるわけだ……俺は数値が低過ぎるから意味無いけど」
そんなわけで、俺は加算式の装備を可能な限り強い状態で作ったわけだ。
はっきり言って、初心者しか使えないが初心者には使えない──凄く高くなるからな!