違法侵入者 その10
違法侵入者 その10
拠点の破壊は成功しても、『DDD』がこちらへ来るための『目印』としているアイテムの破壊には失敗していた。
その場所を暴いたところ、トランクの形をした『プログレス』、それに『DDD』のサブオーナーを発見する。
「そのトランク、破壊しても?」
「ご冗談を。これを壊されては、おそらくこの地に戻ってくることはできなくなってしまいます。逆に言えば、これがある限りどのような手を用いられても、我々はここに来ることができるのでしょうけど」
「だからこそ、壊したいのですが……貴方には、他の目的もありそうですね」
「……おや、そう思いますか?」
自分たちだけの秘密基地、みたいなノリな目的で動く連中が大半だと思う。
しかし何というか、目の前のサブオーナーがそれだけで動くとは思わなかった。
うん、見た目からメタ読みするのはアレだと思うけど、物凄く胡散臭いのだ。
燕尾服、黒縁メガネ、そして腰に鎖……わざとか? と思うくらい露骨に怪しい。
「たとえば、ここは常に座標が変わる動く秘境のようなもの。それゆえに、冒険世界のあらゆる場所に向かうことができます」
「ほぉ、それは知りませんでした」
「知らない? ──【地図王】である貴方が知らないはずないでしょう」
「なんだ、知っていたのですね。ええ、実はそうなんです。ここを上手く活用すれば、地図もすぐに描けまして。お恥ずかしい、自分のためだなんて」
「……嘘では無いでしょうが、理由の全部では無いですね」
彼が【地図王】なのは間違いない。
しかし、俺の経験(創作物)からしてこういう連中ってだいたいもう何枚か切り札を隠していたりするんだよな……。
「これ以上の問答は、さすがに無駄でしょうし、そろそろ破壊に移らせていただきます」
「おや、こちらとしてはいくらでも会話にお付き合いするのですが?」
「援軍を呼ばれては溜まりませんし、何より彼に力を与えたくはありませんので」
彼、と言ってみるのは未だに転がしたまま放置中のオーナー。
死者を糧に強くなるので、援軍が来てそれで強化されると非常に面倒だしな。
再び手を叩き、“万闇統一”で闇を操作してサブオーナーに向かわせる。
やれやれ、といった表情を浮かべると、彼が腰から下げた鎖が動き出してそれを防ぐ。
「鎖ですか……」
「『チェイスチェイン』、これが私の『プログレス』です。どこまでも追い続けますよ、攻撃した相手をね」
「おっと、これは拙い」
闇を打ち払った瞬間、鎖は俺の方目掛けて飛んでくる。
闇との繋がりを辿って、直接攻撃対象に攻撃してくるというわけか。