違法侵入者 その17
違法侵入者 その17
アイスプル 神・世界樹 洞内部
タクマから情報を得たその直後、非合法クランの親玉『AAA』が動くという情報が入る──狙いはアイスプルの偽装大陸と都市、つまり 実星 うち である。
「──はい、というわけで都市の方に犯罪者集団が乗り込んできまーす。選りすぐりの強者ばっかりなので、対処も本気でやるぞ」
『…………哀れだな、件の奴らが』
毎度の如く呼び出すのは、住民代表な立ち位置に居る星獣の風兎。
彼の言葉、鶴の……じゃなくて兎の一声があれば、固有種たちが一堂するしな。
「まあ、対人向けの警備網の方をちゃんとテストしていなかったからちょうどいい。結局アレなんだよな、最悪丸ごと潰せばいいから早い」
俺の職業【救星者】の力は、アイスプル内部に限ればほぼ万能と言って過言はない。
そして、それを利用すれば外敵に対する追放として国外処分ならぬ星外処分も可能だ。
前に来た客人でいくつか試したところ、休人でも追放をすれば、少なくとも簡単な方法では入れなくなる。
あくまでシステム的に遮るだけなので、要はパスポートが使えなくなるようなもの。
強引に乗り込むなどすれば侵入されるが、それはもう立派な罪だしな。
そう、武闘大会でお披露目した星を護るための術式──“ 災星護界 ターディナ ”。
あの時は簡易版だったが、本来はそうした特殊な侵入者を防ぐための術式だった。
具体的に言うなら、外部からの場合にはあの時以上の苛烈さで対処してくれる。
神子ですら突破できなかった包囲網だ、そう易々とはクリアできないはず。
「とはいえ、いちおうは強行突破ではない入り方をしてくるだろう。『プログレス』関連の仕込みは阻止したはずだが、それでも何かできることがあったわけだ……うーん、恐るべし、擬似権能」
『貴様が撒いた種であろうに』
「そうそう、まあでもアイスプル内なら死んでも 遺製具 レリック 化することは無いし、ちゃんと蘇れる。休人たちの実力と、今の自分たちの強さがどれくらいのものなのか、うちの家族以外で試してみるいい機会じゃないか?」
『むぐ……一理あるか。人形たちに戦闘データを入れて日々更新してもらっているが、それでも何かが足らんと言う民が続出していたからな』
「生の感情──闘争心やら殺意やら、そういうの敵と戦う時の想いを好むヤツも居るわけだし……どうだ?」
『…………ハァ。とはいえ、さすがに何もかも曝け出すわけにはいかないだろう。制限をいくつか課し、それを受け入れられる民だけが参加ということでいいか?』
「ああ、そうしよう。そういう魔道具はもう大量に用意してあるからな」
それを聞き、より深い溜め息を吐かれる。
……だいぶ前から求められていたからな、予備も含めて準備は万端です。