違法侵入者 その19
違法侵入者 その19
第一の刺客、【死槍王】デスロード。
禍々しい槍から瘴気を放ち、アンデッドを生み出しソレを使役する力を持った男が、後から来る仲間のために俺を迎撃してくる。
「── 光玉 ライトボール 」
《──“千変宝珠・聖/偽装(光)”》
「氷だけじゃなく光もかよ……面倒臭ぇ」
アンデッドたちに放つ眩しい魔力の塊。
あちら側はそれを呼称と演出で光属性のモノと判断したが、それは偽装したもの。
属性偽装と呼ばれる技術で、特殊耐久サバイバルの時に試した制御術式同様、効率の観点からあまり使われなくなったものだ……強いのを撃ち込んで潰せば一発だからな。
対アンデッド属性とも呼べる聖属性の魔力だが、さすがに氷属性の術師を装っているのに聖職者もというのは業突く張りなところ。
事実はそれ以上の超万能職だが、相手がそれを知らない以上隠すしかない。
せいぜい、氷と光の二重属性ぐらいが想定されるビルドとしてちょうどいいからな。
「おい、防げ」
『────』
アンデッドたちは、デスロードの命令で動き出す。
盾を持った個体は前に踏み出し、杖を持った個体は詠唱を始める。
盾は魔具の類いだったらしく、聖属性の魔力を受けてもビクともしない。
デスロード自身は動かず、ただこちらを見ているだけ──時間が過ぎ、詠唱が終わる。
『■■■■……“────”!!』
発動したのは、周囲に炎の円陣を生み出す術式。
転移門を置いている辺りは建物から離しているので良いが、最悪火事になっていた。
「これは……やってくれますね」
「ここ、空っぽなんだろう? ったく、ガセ情報掴まされやがって……むしゃくしゃしたから燃やした、文句あるか?」
「貴方の住む地域の常識は知りませんが、少なくともここでは犯罪ですよ。アンデッドの使役、及び瘴気の散布などはまだ許されたのですが……放火はダメです」
『警告します! ただちに降伏し、速やかに武器を捨ててください! 繰り返します、ただちに降伏し、速やかに武器を捨ててください!』
設定した問題に対し、自動的に発動する世界守護術式──“ 災星護界 ターディオ ”。
デスロードの放火をトリガーとし、デフォルメされた亀のような擬似生物が現れた。
「……こいつは、たしか──」
『繰り返します──!』
「うるせぇ、死ね!」
槍が振り払われ、亀はすぐにやられる。
魔力による擬似生物だからか、アンデッドとして生み出されることも無く、代わりに先ほど以上の数の亀たちが現れだす。
「そうだ、こいつらは闘技大会に出てたヤツらだ……つまり、テメェの正体は!」
「バレてしまいましたか……」
まあ、いつかはバレることなので仕方がないか……。
そうこうしている間に、亀たちがサクッとデスロードを拘束する。
アイスプルの中なので、その性能もあの時とは段違いだからな。
さて、そろそろ次のお客様たちの歓迎の準備をしな──
『──“ 首狩切断 ヴォーパルギロチン ”』