違法侵入者 その26
違法侵入者 その26
会話もそろそろお開き。
本来は移植しかできない時期以降の休人でありながら、装備式の『プログレス』を持つカルマ(仮)のことは、後に回そう。
「っ、な、なに……!?」
見えない場所で行ったハンドサイン、それはエクリにある行動をさせるためのもの。
正直、カルマが現在居る影の空間内なら、いつでも殺すことができたが……殺らない。
代わりに──拘束する。
エクリの精霊としての性質を使い、同時に身力のドレインを行うことで抵抗もできないようにしておく。
そしてそのまま、地上へ帰還。
カルマの仲間たちが目にするのは、影で作られた十字架に括り付けられた自分たちの組織のトップの姿というわけだ。
「むぐぐ……!」
「話し合いの結果です。抵抗も激しいようですし、人質を取らせていただきました……おや、動じませんね」
「──誰を人質にしようとしているのか、分かっているのです? まあ、分かっていればそんなことするはずないのですけど」
亀たちと戦っていた『AAA』の面々の一人、一番若い少女が俺を嘲る。
ただのお飾りで据えてもらえるほど、非合法クランのトップは甘くない……のか?
それは唐突に。
何かを訴えようとしていたカルマだが、突然その周りにどす黒いオーラが溢れ出す。
気になるのは、先のデスロード君と違い瘴気などではない点。
それ以上に純粋な黒さ、似たものであれば冥界関連の力だろうか。
「むぐむぐ! むぐぐ……!」
「──離れますよ!」
メンバーの一人、サブオーナーがそう言うと、術式が作動してここから──離れない。
うん、これで俺だけが残される流れが創作物なら定番だが、させるわけがなかろう。
時間もたっぷりとあったので、転移阻害の装置を作動済みである。
そんなわけで、すでに事情を知っている連中の解説と共に、状況の変化を見ていこう。
「それで、アレはなんですか?」
「…………アレは、オーナーの切り札の一つです」
「説明を。攻略難易度が下がるのであれば、多少の減刑は考えます」
「……我々もすべてを明かされているわけではありません。ですが、アレはオーナー自身の力ではありません」
「ふむ。話に聞いた、名前を明かすことができない理由はそれですか」
カルマは影に囚われている。
だがオーラの高まりと共に、拘束具が強引に破壊されつつあった。
「では、あの方はなぜオーナーとしてこの場に居るのでしょう。話し合って、あの方が皆様を束ねるだけの悪行を働くような方だとは到底思えませんでした」
「……我々の業値を引き受けることができると、それがオーナーを我々が奉っていた当初の理由です」
「そうですか……あれは見せかけではなく、実力でオーナーの座を勝ち取った証、ということでしょうかね」
奉る、まあ業値の軽減というのは犯罪者たちには喉から手が出るほど価値のあるもの。
どういう経緯でそれが知られたかは不明だが、犯罪者に目を付けられたわけだ。
──が、ある時期を境にカルマは引き受けた業値と共に変化した。
その結果、おそらく『プログレス』も移植が剥がされたとみていい。
《旦那様! 分かりました、カルマは──》
そして、これまでに得た情報を基に『SEBAS』が導き出した答え。
それは──