違法侵入者 その27
違法侵入者 その27
何やら黒いオーラを放ち、尋常ならざる身体能力を発揮し出したカルマ。
逃げようとした『AAA』の面々と共にそれを眺め──『SEBAS』の報告を聞く。
《カルマは──名を奪われている、悪魔との契約者です! そして、その悪魔は契約の代償に業値を受け取っています!》
「…………悪魔、ですか」
「──くくく、この時代にそれを知る者が居るとは。稀有なことだ」
拘束具が完全に破壊され、カルマの体が地上に降り立つ。
こちらを睥睨するようなその瞳は、白目と黒目が逆転していた。
悪魔、神話において神や天使と敵対する存在として描かれることの多い存在。
EHOでもその辺はだいたい同じ、人を唆しそこから得られる欲を糧に強くなる。
「なるほど、カルマ……いえ、名を奪われたオーナーが引き受けている業値、その一部を得ることであそこまで強くなったのですか」
「くくっ、その通り。もっとも、強要などしていないぞ。我らは対等な契約を交わし、ヤツは自らの名と業、それに……おっと、これは契約違反か。ともあれ、それらと引き換えにこうして力を貸しているというわけだ」
「名を奪う、その意味を理解しての発言ですか? こうして今も、貴方に自由を奪われているではありませんか」
「汝らであれば、意味も無かろう? まさか名を奪ったにも拘らず、こうして共存関係になるとは思わなかったがな……だが、今はそれすらも愉悦。お互い、益のある間柄だと自負しておる」
悪魔との契約において、名を渡すということは主導権を渡すと同義。
渡したが最後、契約に違反しない限り悪魔が体を使い好き放題するだろう。
……それが、休人でも無い限りは。
休人の名前は仮のモノ、アバター自体の名前と結びつくことが無いので、体を奪われても例の白い空間に飛ばされるだけで済む。
完全に主導権を得られず、悪魔も困惑したことだろう。
それからカルマ(仮)と何かの取り決めでもして、今に至ったわけだ。
「それで、貴方は先ほど強引に出てきたように思われるのですが……いったい、どういった目的で?」
「うむ。我が出る条件の一つ、行動の不自由が満たされたからだな。これまでに居た世界とは違う、未知の場所。我もまた、コヤツと同じく未知に赴くのは好きなのだ」
「…………えっと、つまり観光目的だと?」
「然り!」
どうしたものか、とサブオーナーの方を見るが……首を横に振られてしまう。
他の面々も顔を合わせてくれない……えーと、この流れいろいろおかしくないか?