職業スキル健闘 前篇
職業スキル健闘 前篇
アイスプル 再生の間
先日、エンキが脳筋だということが発覚。
当人(獣)はそれでもいいと周りを見て学習しているようだが、きちんと考えて行動するように風兎に教育を任せた。
「……ふぅ、何とか勝てたよ」
エンキにも使っていた再生の間を用いた検証、それを今回は俺もやっている。
呼び出した位階の低い弱い魔物を相手に、悪戦苦闘の果てに辛くも勝利。
もちろん、いつものように星具でも遺製具でも何でも使えば楽勝ではあった。
だが、今回は普段のチート過ぎる装備やら権能やらは封印、一部を除き素の状態だ。
ではどうやって戦うのか、その答えは──職業スキル。
通常のスキルを(鑑定以外)使えない俺に残された、唯一の裏技。
名前の通り、就いている職業に関連した補正を一纏めにしたようなもの。
【剣士】ならば剣の扱い、【魔法士】であれば魔法の扱いを通常よりも上手くできる。
言わば補助輪だ。
そこにスキルという本体を乗せることで、より安定した形で就いた職業の役割を果たしやすくなる。
「本当は、職業に就いたうえで関連するスキルを磨くのが一番なんだけどな……というか原人なら、自然と習得できるし」
条件さえ満たせば、基本どんな職業にも就ける休人とは違う原人たち。
彼らの主なスキル獲得方法は、研鑽による熟練からなる証明。
ポイントを使えばスキルを取れ、取ったスキルで補正が働く休人とは違う。
それを得るに相応しい、そう世界が認めるまでに習熟した証が原人のスキルなのだ。
なので同じく適性がある職業に就き、関連する行動を取り続けていれば、自ずと彼らにはスキルが与えられる。
休人にも同様の方法は可能だが、適性の無い行動では有る行動に比べてスキルの獲得は当然遅くなってしまう。
俺の場合、:DIY:の影響で生産以外絶無の状態(生産系スキルは実質獲得不可)。
職業も同様、何よりスキルを入れる器がもう許容いっぱいなので何もできないのだ。
「でも俺には【救星者】があるからな。外付け枠の器だから、その効果で得た職業スキルは俺の器とは関係なく使える……まあ、補助輪だけ使えても自転車と同じように走るのは無理ってことか」
特級職【救星者】。
あらゆる職業のスキルを擬似的に内包することができるこの職業によって、俺は無数の補助輪を得ることができた。
……が、補助輪だけあってもそれが自転車本体の役割をしてくれるわけではない。
先に挙げた【剣士】なら剣の構え、【魔法士】なら適性のある属性検査用の魔法など。
職業の階級が上がっていけば、特別な能力なども備わっているのだが、俺が基本的に解放できている職業はどれも下級職ばかり。
なので実力者たちからすれば、塵を集めて山を築こうとしているようなもの。
大器晩成と言えば聞こえはいいが……果てしなく途方もない苦行なのは間違いない。