梯子への準備 中篇
梯子への準備 中篇
ついに天上へ至る梯子が降りてきた。
死んでも問題ない休人たち、そんな彼らに商品を売りつける者たちで孤島は大賑わいとなっている。
「今回はどうする? 俺たちも店をやっておいた方がいいか?」
《旦那様の望むように》
「うーん……人形に任せるか。融通が利かない感じで、強引にナニカしようとしたらいつも通りでいいや」
《畏まりました。場所の方は事前に確保しておいてございます》
「…………えっ、いつの間に?」
《前回訪れた際から、こういったお考えになることはご想像しておりましたので》
うん、さすがはスーパー執事AIだ。
通りとなっている場所からは少し離れているものの、周りから邪魔されず、かといって気づかれないほどではない場所とのこと。
その辺はお任せなので、実際に確認するということはない。
スタンスはいつもと同じ、見つけられたら攻略が捗るかもね……ぐらいだ。
「蘇生薬と万能薬は、それぞれ劣化版をばら撒いておこう。あと武器、これはな……前に作った検証用のヤツの失敗作、アレを適当に売り捌きますか」
《はい。手配の方をさっそく》
検証用の武器、それは装備補正やらについて考えていた時の産物。
それなりに作っているが、初期の方は自分でも装備できない物をいくつか作っていた。
ただし、性能だけは間違いない。
そんなわけで、前衛から後衛まで、どんなポジションでも装備可能な武具を取り揃えた道具屋が開店することが決まった。
◆ □ ◆ □ ◆
町、というほどでもない出店で築かれた道の中を進んでいく。
体がぶつかれば即死な俺は、体に衣を纏って──周囲を擦り抜けて歩いている。
先日発現者を見つけた、不可視でお馴染みの外套『インビジブルクローク』。
隠蔽スキルのレベルが下がる代わりに、誰にも触れられなくなる能力を起動中だ。
なお、その分魔法薬や術式で補っているので問題ない。
お陰でいちいち死ぬことなく、気軽に人込みの中を歩くことができている。
「そういえば、この尖った外套を育てるに至る理由は何なんだろうな……本当は隠蔽スキルが前提となる能力構成なのに、それを擬似的に消費して姿を隠している」
《彼女のメイン職業は【大隠者】。本来隠蔽に関する能力も備えておりますが、この外套だけでなく、彼女は隠蔽スキルによらない隠遁技術を心得ている様子でした》
「『超越者』の『隠者』っぽい名前だけど、そっちともまた違うんだよな?」
《強さ、ですかね。『隠者』の始まりは、弱者の足掻きによるもの。対する【大隠者】は最上位職に当たり、資格を試練で超えなければ得られません──つまり強者のものです》
なお、その試練内容は職業に合わせて隠れる系のものなんだとか。
隠蔽系のスキルは使えない……が、『プログレス』は使える──そりゃあイケるよ。