梯子の試験 その05
梯子の試験 その05
次元結界、創作物でありがちな無敵結界を使えるようになった。
ただし、普通はその場から動けない……しかし、特殊な領域を作り動けるように。
「──!」「──、────!」「──、“────”!!」
今の俺は周りの音が聞こえない、そして見ることもできない。
先ほど語った通り、日光も通らない──つまり可視光線もまた認識不可なのだ。
ひたすら真っ暗な道を、これまでの感覚だけを頼りに進んでいる……わけではない。
次元結界の中でも、[メニュー]は出せるし視界自体は正常だ。
なので、外部のステルスドローンが撮影した情報を基に、階段だけ網膜に映している。
他をやらない理由? 見たら殺せる、みたいな呪術対策もあるし……面倒臭いからだ。
見えていなかったから仕方がない、そういうことにしておきたい。
嘘発見のスキルなどもあるし、知っていたのに対応しなかった……はバレてしまう。
《……まだ遠いんだなー》
《ですが、妨害を防げていますので順調と言えましょう。すでに何人か、雲の先へ到達しているようですが、階段が無くなっていない以上、終わりではないのでしょう》
スタートダッシュを決め、速度と回避に長けた参加者はすでに階段を──少なくとも、地上から見える分は──登り切っている。
だが、誰か一人が着いたら終わりという話でも無いのだろう。
あるいは、誰一人として辿り着いていない可能性もあるが……まあ、それはいい。
《そういえばさ、『SEBAS』。前に打ち上げられた時は宇宙に飛ばされそうになったけど、今回は問題無いんだよな?》
武闘世界からの使者、『極逸:飛武』。
彼に殴り飛ばされ、俺はなんやかんや遥か空の彼方まで飛んでいった。
その高度は間違いなく、天上世界が有る場所以上に高かったはず。
だがその際はそちらではなく、何も無い星の海へ向かいそうになったわけだ。
《問題無いでしょう。梯子を介し、雲を──次元の壁を越える、それにより天上世界へ辿り着くのは確実です。いっさいを閉ざすのではなく、通るための条件を整える。これにより、普段の侵入を阻止しているのです》
順調に階段を登る中、妨害は激しく……はなっていない。
通じていない相手にコストを掛けるより、周りにやった方が効果があるからな。
そう考えた者が現れだし、周囲を妨害し始めればその時点で終了。
俺を狙うのは、最初からスタンバイしていた『羽持ち』の個体だけ。
ノックバックのように、強制的につき落とすような攻撃もしているらしい。
だがそれも通じないので、何事も無く──雲の先へ辿り着いた。