冥界調査 後篇
冥界調査 後篇
冥界で聞いた、天上世界へと至るもう一つの道……ギリシア神話が封じた激ヤバ連中の牢獄を抜けるという、鬼畜過ぎる裏道。
「それで、どうするの?」
「うーん……止めておく。この流れで行ってすぐ突破できるほど、冥界の警備ってザルなわけないもんな」
「あら、残念。せっかく面白い見世物が始まると思ったのに」
「そもそも、普通のヤツが挑んで生還する可能性……あるのか?」
エンドコンテンツと勝手に考えたが、それは理論上クリア可能な内容のこと。
それすらもできない、事実上不可能な内容な可能性の方が高い。
薄く笑みを見せる『冥王』の姿が、何よりもその証拠となった。
どれだけ努力しても勝てないような相手、元より神や神話の怪物はそういうものだ。
「そういうわけだ、本当にダメだった時の最終手段にでもしておこう」
「……そう。何か報酬でも用意したら、やってくれるかしら?」
「俺はやらないな。でも、死んでもやり直しが効く休人連中なら、報酬次第でいくらでもバカやってくれるんじゃないか?」
「それはつまらないわね。冥界にはすべての神話が内包されているのだけれど、当然各神話ごとにタルタロスのような場所があるわ。そして、貴男が知っている通り、そこから抜け出そうとする者も居る」
「…………脱獄神か」
「アレはそれに特化、またそれを成すことが神の在りようとして定められているから例外に近いのだけれど、そうではない者も脱獄を狙うわ。手段問わず、それこそ使い勝手のいい駒を使ったりしてね」
脱獄神、失名神話に属する神の一柱。
弱体化していたところを依頼を受けて捕縛して送還したが、どうやら冥界に封じられていたようだ。
そして、あの神のようにそれぞれの神話にも牢獄に閉じ込められた連中が居る。
それを聞いて連想したのは、星層監極にて干渉してきた混沌勢の使徒。
アレもまた、星敵という都合のいい強さを持つ連中を使おうとしていたのではないか?
強さはお墨付き、悪を成そうとする彼らに収監者を解放させようとしていた?
「まあ、完全に隠してもどうせどこからか聞き出してくる連中だと思うぞ。部分的にでも晒して、コントロールするのもありなんじゃないか?」
「貴男たちの行動次第では、そういう催しをしてみるのもいいかもしれないわね。ただ、現状ではやらないわ……上ばかり見て、下を目指す者が居ないもの」
「そりゃあ冥界への行き方なんて、全然知られてないんだからしょうがないな。始まりの街のすぐ近くにできた穴だって、アレ以降出てないわけだし」
「第一権限の保持者に対して、VIP待遇で用意されたものよ。貴方がここに来て、ワタシと謁見を果たした時点で、目的は達せられているもの……正規の手段で、冥界を訪れるのが道理というものじゃない」
天を目指すのと同じくらい、神話において人々は地の底を目指す。
その目的は死者の蘇生……だがEHOの場合、蘇生薬でどうにかなっちゃうからなー。