遺失職 前篇
遺失職 前篇
アイスプル 迷宮『禁機の工廟』
方向性の違い、神と袂を分かつ道を選んだ名残が残骸の正体だという結論に。
神々の恩寵を忘れるほどの発展、技術の進歩が辿り着く先とはそういうものだ。
「まあ、ある意味ここはその体現な気がしないでも無いな……」
現代知識に基づく環境破壊兵器、創作物を参考にした対概念兵器などなど。
神をも恐れぬ兵器をいくつも生み出し、この迷宮の中に溜め込んでいる。
なお、外に持ち出すと速攻で禁忌認定されるので使う予定は あまり ・・・ 無い。
……脱獄の時などは、『騎士王』相手にここに有った兵器を出しまくったけどな。
「ただ気になるのはあれなんだよな……セーフとアウトの境界線、どこまでを許容してくれるのかが分からないんだよ」
さすがに核兵器と同レベルでヤバい技術が生み出されるようになれば、寛容な神様でもそれらの基となった文明を丸々消去(物理)してもおかしくは無いだろう。
「科学の産物と魔力の道具はあんまり噛み合わないんだよな……物理法則を遵守している科学に、まったく別の理で動いている魔力を混ぜられないんだよな。混ぜるな危険、ってのはまさにこのことなわけだ」
たとえば、火を点けるという行動。
現代でも様々な方法があるし、EHOでも火属性の魔法や生活魔法、火の精霊に頼んだり魔道具を使うなどやり方はたくさんだ。
それぞれをそれぞれ単一の行動としてやるのは何の問題も無い、だが一部の組み合わせは本来の仕様から外れた結果を生むことに。
純科学製品をこちらの世界で作るのは、異様に難しい。
俺の場合は迷宮という一種の世界に、魔力の理を排除することでようやくできた。
「雷というか電気一つにしたって、属性魔力だからってすぐに作れるなら、地球のエネルギー問題がほぼ解決するしな……いやまあ、それはそれで問題になりそうだけど」
なお、科学で生み出したものと魔力でできたもので、通るダメージが違う。
特に前者は物理法則で減衰するうえ、スキルや能力による耐性で通りが悪くなるのだ。
そもそも、レベルというシステムで強化された連中に科学の産物って通じづらい。
──まあ、あくまでも現代の範疇に留まる科学技術なら、という話だけどな。
閑話休題 ならそれいじょうを
そんなこんなで、ここ『禁機の工廟』では純科学の進化なども行っている。
高度に発達した科学は、魔法と区別がつかないとは昔の偉人の言葉だ。
現に、(すぐ対応されたが)『騎士王』を相手に核兵器は通用した。
他にも一部科学が組み込まれた光線銃が、ある程度魔物に通じている。
だからこそ、俺はここでの研究を続け──いづれは外にばら撒くつもりでいた。
まあ、間違いなく禁忌に繋がるだろうが、それでもやる意味があるからな。