天界外周調査 その04
天界外周調査 その04
転移門を潜り、帰ったと思わせて隠れる作戦を実行。
まんまと引っ掛かり、少年が現れたのでその後をつけることに。
《……うん、暇》
なんかこう、滅茶苦茶加速できるアイテムとかワープできるアイテムを持っているかと思いきや、まさかの徒歩。
周囲をかなり警戒しながら移動しているようで、到着にはまだ時間が掛かるようだ。
……それはそれで、いったい何を警戒しているのか、というのが重要なポイントか。
《『SEBAS』、分かるか?》
《周囲に人は居らず、魔物などの敵対存在も居りません……ですがこれは明らかに、いつ来てもおかしくはないという緊張感です》
《それこそ、古き良きRPGみたいにランダムエンカウント──唐突に現れる、なんてこともあるのかもしれないな。理次第で理不尽が起き得る、それもEHOあるあるだし》
少年が恐れている展開がどういうものか、俺たちは知らない。
なのでのほほんとしながら、暇潰しの会話で時間をやり過ごしていく。
《そういえばさ、あのフード付きのマント。アレはどういう仕組みなんだろうな》
《おそらくですが、『ハデスの兜』かと》
《……いや、兜ではないよな?》
《正確には、その伝承を再現した代物です。神話におけるその兜は、被った者に不可視の性質を与えるとされ、何人かの英雄たちが借り受け使用しております》
ふむふむ、さすがにオリジナルがあるわけではないだろうし、そのレプリカか?
……いや、伝承の再現と言っているので、本当に性質のみの抽出だろう。
《見た目がアレなのも、わざわざ兜にする必要が無いからか?》
《加えて、面積を確保するためにある程度の広さが必要だったのでしょう。アレならば、再現のために必要なリソースや術式を十分に組み込むことができるはずです》
《なるほどな……透明になれる服、だしな。俺のというかあの娘の『プログレス』の存在意義が問われるところだな》
俺が身に纏う『プログレス:インビジブルクローク』の本来の発現者、ユキツバキ。
彼女だけのアイデンティティの塊、それをサクッと再現できるアイテムの登場だしな。
まあ、持ち込んだ時の反応が気になるので劣化でもいいので再現したい。
いろいろとシナジーはあるんだよな、普段使いしているので分かります。
◆ □ ◆ □ ◆
そしてしばらくして、辿り着いた先──そこは遺跡だった。
少年はそこまで来ると、ようやく一息吐いて外套を脱ぐ。
「っと、そうだった」
そして、懐を探り何かを取り出すと、遺跡に向けて翳してから中に入っていく。
どうやら、認証用のアイテムを持って入らないとナニカが起きるらしい。
《──さて、ここからどうするかな?》
《座標は登録済みです。しかし、少年を介しての転移は失敗します。内部で転移阻害が機能しているようです》
《少なくとも、この状態で入ったらどうなるのかをこっちはまだ知らないからな……準備してから、思い切って入ってみよう》
失敗したらその時は、死んだ後に考えればいい。
休人であり『星敵:超越生者』である俺には、死後の選択肢の方が多いからな。