天界外周調査 その05
天界外周調査 その05
少年が行き着いた先は遺跡だった。
どうやら資格となるアイテムを持たないまま入ると、何やら問題が生じるらしい……仕方がない──特攻しますか。
「おっと、いきなり殺意全開ですね」
あの後、俺は一度[ログアウト]した。
遺跡に入った後がどうなるか分からなかったし、そもそもどれくらいの長丁場になるか具体的に予想できなかったしな。
その間は『SEBAS』が見張っていてくれたし、実際何も無かったようで。
俺以外にこちらを訪れた者も居なかったらしく、遺跡から誰も出てこなかったそうだ。
そんなこんなで[ログイン]後、それらを確認してから遺跡へのアタックを開始。
──少年が何かを翳した辺りを通ろうとした瞬間、俺の腕が伸ばした先で切断される。
「……様々な経験が、私を救いますね」
死を恐れないわけでも、痛みを感じないわけでもなかった。
ある程度の痛覚は緩和してくれるEHOやその本体機器だが、決してゼロではない。
それでも、ルリとの出会いや今に至るまでの間でこう……いろいろとあったからなぁ。
人間覚悟がキマっていれば、たいていのことはどうにかなると実地を以って学んだ。
そんなわけで、[スーサイド]機能で即時の自害──肉体がその場で再構築される。
腕を取りに行けないので仕方がない、なお腕は粒子となって消えていった。
「この腕も、再構築されたとはいえ先ほどまでの腕と同じものなのか……いえ、今はそれよりもここを突破しなければいけませんね」
まあ、はっきり言えば勢いをつけて入れば侵入はできる。
なんせ腕は向こう側に行ったのだ──全身が切断される覚悟さえあれば、可能だ。
しかし、できるとやりたいは違う。
一般人である俺は、家族関係以外でそんなやり方を取るつもりは無い──なので、平和的に行こうじゃないか。
「『SEBAS』、方法はあるか?」
《──────、などがございますが……》
「少なくとも、俺はそれでビジュアル的にヤバいことにはならないと?」
《……はい》
ならば仕方がない、何でも見た目は重要である。
この後子供たちが見るかもしれないし、素プラッタな映像はお見せできないのだ。
──そうして俺は、ポーションを服用してから前へ進み出た。
◆ □ ◆ □ ◆
遺跡の最奥にて、警報が鳴り響く。
それは侵入者を告げるもの──入り口で防ぎきれなかった何者かを、遺跡の機構により映し出し見せてくれる。
「……これは、いったい」
そこに映し出されるのは、周りを気にせず悠々と歩く男の姿。
自分たちとは異なる衣装の──地上からの来訪者。
見張りをしていた者から、地上へ帰還したと報告を受けていたはずだった。
何が目的なのか、本来ならばそれを考えるのだろう。
が、映し出される光景がソレをさせないほどの衝撃を与えている。
──罠のすべてを、どれだけその身で受けようとも平然とする様子に目を奪われた。