天界外周調査 その06
天界外周調査 その06
ある時が矢が降り注ぎ、ある時は天井が落ちてくる。
どうも、罠は漢解除で遺跡攻略中のツクルでございます。
「知ってはいましたが、ここでもこのようになる形で良かったです」
答え合わせだけしてしまうと──俺は今、死にながら遺跡を進んでいた。
星敵『超越生者』の権能、死亡時における無敵化により肉体の損傷はゼロとなる。
本来、蘇生待機時間に肉体がダメージを受けると蘇生確率や待機時間が減ってしまう。
それを解消する力だが……無限に蘇生可能で、即座に復帰できる俺が使うとバグる。
いつでも死ぬような状態になり、[称号]などで死体を強引に動かす。
あとは随時蘇生薬で復活すれば、待機時間はリセットされて無敵が適用される。
──なお、天井が降ってくるといった物理的に押し潰されそうな殺し方の場合、頭が着いた時点で罠が強制的に停止する……システム的なアレが無かったら、詰んでたろうな。
閑話休題 つっぱりぼう
罠は数キロに渡って続いた。
明らかに長さが狂っているのだが、EHO世界の場合は迷宮化やら空間拡張やらの謎仕様でよくあるパターンなのだ。
「──ああ、お迎えですか」
「お前は……!」
そうこうしていると、罠の区画は終了して別の区画が現れた。
待ち構えていた遺跡の住民たちは、その手に銃のようなものを握りこちらへ向ける。
「皆さんと、こうして顔を合わせるのは初めてですね。初めまして、地上世界から参りました。第肆号の……行商人です」
「行商人だと……あ、あんなことをできるヤツが、行商人だと!?」
「地上では今、私のように少々特殊な者たちが居ましてね。私の場合、非力な代わりに少しばかり頑丈……とは違いますが、生き延びることに長けているのですよ」
明らかに警戒しているようだが、こちらはただそれを受け入れ笑みを浮かべるのみ。
──だが相手はそれを見て、引き攣ったような顔をする。
「……それで、そんな行商人がここまで来たのは何のためだ?」
「行商人ですので、商いを……と言いたいところでしたが、ここでの需要がまったく分かりませんでした。ですので、ここの皆様に私めが持ち込んだ品を見ていただき、お代をいただきたく……」
「…………見るだけで、いいのか?」
「ご期待に沿えなかったというのであれば、それは他ならぬ私の力不足。大人しく引き下がるとしましょう……」
まずはシートを敷き、その場に座った。
そして、魔法鞄の中からアイテムを……という風に見せつつ、[インベントリ]から無数のアイテムを取り出していく。
代表者っぽい男が前に進み出る。
銃は仕舞ってくれているが、結局後ろの連中が未だに構えているんだよな。
「食糧、回復薬、それに地上で広まっているいくつかの魔道具……それに、地上の魔物の素材をそれなりに」
「…………これは、なんだ?」
「そしてこちらは──『プログレス』、誰でも擬似的な権能を得ることができる、今地上で話題の品です。こちらを三機、ご用意しましたので、ぜひご確認を」
彼らの視線は魔道具や魔物の素材──中でも核にはいったものの、食べ物や回復薬などには向いていなかった。
そして、『プログレス』。
こちらはそもそも何なのか分からなかったようだが、内容を説明した途端にギョッとした様子。
少なくとも、彼らは権能がどういったものなのかを理解しているのだろう。
──だからこそ、他の何よりも『プログレス』に視線は釘付けとなっていた。