天界外周調査 その08
天界外周調査 その08
一先ず、代表者には『プログレス』の説明書を読んでもらうことに。
三冊しか無かったので、暇な人たちが俺の所に来て地上の話を聞きたいと言ってきた。
知らにゃあ聞かせてみせましょう、そんなこんなで思い出話に花を咲かせる。
──なお、言語については『SEBAS』が予め翻訳可能にしてくれてありました。
「…………」
「──と最終的に、参加者たちは力を合わせて強大な魔獣を打ち倒すことに成功します。この功績が称えられ、無事に私たちは元の場所に帰ることができたのです。ご清聴、ありがとうございました」
『おぉーー!!』
少々誇張──と裏切り者云々はカット──した特殊耐久サバイバル部門の話は、見事遺跡の住民たちに受け入れられた。
あの手この手で探ってみたところ、彼らが求めていたのは──景色の話。
天上世界は大地は無いが地面はあるし、海だって当然空だってある。
だがそこまで過酷な環境、というものは存在しないんだよな。
神話に語られる怪物が跋扈しているわけでもないので、ある意味当然だけれど。
そんなわけで、ドローンで撮影していた多くの景観を資料として見せつつ、情景豊かに思い出語りを終えた……なお、台本が無かったらそんなことできません。
「おや、何か質問がありましたか?」
「何を話していたか、聞いても?」
「少し旅の話を。魔獣たちの住まう過酷な環境、そして魔物たちの居ない安全な場所などについて」
「! そうか……」
ちなみに、中立地帯の景観はともかく、魔物が居ないとか安全な場所……といった内容はさして受けが良くなかった。
少年が使っていた外套といい、彼らが構える銃といい、そこまで魔物について困っていることは無いのだろう。
──問題はそれ以上の、『プログレス』が必要になる事案。
そしてそれは、彼らの望みを叶える障害として立ちはだかっている点だな。
「それでは、改めまして……資料は読んでいただけましたか?」
「ああ。そして決めた──三つとも、買わせてもらおう」
「ありがとうございます。読んでいただけたということで分かっておいででしょうが、タイプの方をどちらかお選びいただきます」
「装備型と移植型、だったか……あとから移植型にすることもできる、ということだったが。できるならば、そうしてもらいたい」
装備型の便利な点は、着脱の観点から使い回すことも可能なところ。
まあ、個人認証のリセットなどもする必要が有るので、すぐにとはいかないけど。
なおデメリットとしては紛失、そして装備していない時の補正が発生しない点。
移植型なら『プログレス』が付いている限り、常時補正が発生するからな。
「三つとも装備型、ということですね。畏まりました。ただ、移植には別料金が必要となりますが、よろしいですか?」
「構わない」
「分かりました。それでは、装備型としてお売りしましょう」
こうして三つ、また『プログレス』が売れることに。
──だがお支払いを貰ってない、対価をきちんといただかないとな。