現人神 中篇
現人神 中篇
現人神──神聖術式の解析を終えた後、しかし複製ができないと知った後至った答え。
許可を得なければ使えない神聖術式、ならば取れる場所から取ればいい。
「──この流れで俺自身が使えれば、どれだけ良かったのやら」
忘れそうになるが、俺の種族は【現人神】であり、条件を満たしてはいる。
だがかなり制限が掛けられており……具体的には神っぽいことは何もできない。
俺の神としての力は、:DIY:に占領されている。
代わりにここまでやってこれたわけだし、異論は無いけどな。
「あとはルリに頼むってのもあるんだが……ある意味無理なんだよな」
もちろん、連絡して頼めば応えてくれるのは間違いないのだが。
問題は、彼女の神としての性質──命運、おそらく神聖術式はそれ関係限定だ。
スキルやら職業やらで光の魔法を使っているのは間違いないが、今回求められるのは神としての性質や権能。
命運というか運命に干渉する術式は、万能だがさすがにいろいろと拙いんだよな。
ただ失敗するだけならいいが、それがルリにも影響を及ぼしたときは……。
「……うん、最終手段だな」
となれば、別の方法を探すしかない。
ただアプローチとして、神である神ではない存在を対象とするのは悪くないはずだ……となれば──
◆ □ ◆ □ ◆
アイスプル 神・世界樹
うちの世界の世界樹は、神との交信を深める成長を遂げている。
そしてそれは、【大富豪】の課金により更に強化されていた。
最近の話だと、星樹の接ぎ木によって神域が生まれ、そこの失名神話の神々が引っ越してきた──それらを経て、神・世界樹自体が相応の神気を溜め込むようになったのだ。
「そんなこんなで、神聖術式のテストをここでやっていくぞ。ああ、ちゃんと神様たちに許可は貰ってきたからな」
『……ならば良し』
今度は何をやらかすのか、みたいに睨んできていた風兎に一先ず説明。
少しして、何やら思うところがあるように言い出す。
『とはいえ、神聖術式は神の威を借りて使うものなのだろう? 神・世界樹にそういったものは無いではないか』
「逆に言えば、方向性を定めていない力そのものがここにはあるわけだしな。そして、俺もまたそれを何も決めていない」
ルリが司る命運のように、俺もまた何かを担うことができる。
俺自身がそれを何かに使うことはできないのだが……その例外がここにあった。
「要するに、神・世界樹をポーションみたいに補給用に使う。リソースの関係で神の力が使えないなら、一時的にでも他所からソレを確保すればいいわけだからな」
そうなると、改めて自分が何を司る神なのか決めなければならない。
崇めるヤツもいないので、何かにこだわるつもりはない……うーん、どうしたものか。