試行錯誤 中篇
試行錯誤 中篇
世界の神という肩書は、俺には重過ぎたので辞めました。
代わりを探すべく、本来ならば行わない担当分野の変更を延々と繰り返すことに。
《──『偶然』もダメです。やはり、運命と必然どちらに関する分野であっても、旦那様では必要とする神気の量が膨大です》
「くっ……夫婦神作戦は失敗か……!」
アレから様々な分野を選んでみた。
器用貧乏でも万能を目指したい俺は、そちらに通ずるものをとにかく選んだが……万能型はまったく足りないので断念。
ならばチートっぽい『時空』や『虚無』、『宇宙』や『次元』……もやっぱりダメ。
では特化型を、と『生』や『死』や『命』で…………これもダメだった。
まあ、この時点でいろいろと無理なんだろうなと察しがついた。
なんせ『超越生者』、生と死に関する多くの経験を積んでもなお足りなかったので。
『まだ続けるのか? というか、夫婦神……不釣り合いだろう』
「こればかりは妥協するわけにはいかんだろう。あと、分かっててもやるんだよ」
俺とルリが釣り合っているのか、と言われて即答してくれるのは身近な者たちだけ。
お義父さんやお義母さんは受け入れてくれたが……どうも周りはな。
それは現実だけでなく、オンゲーでも言われたこと。
足掻きに足掻き、試行錯誤の果てに……辿り着いたのが今だ。
「──そう、トライ&エラーなんだよな……『SEBAS』、司る分野が狭ければ狭いほど、必要量は減るってのは間違いないな」
《はい。奥様のような例外を除き、大規模な事象に干渉できる分野には、相応の量。その逆で狭義の概念であればあるほど、信仰を得難い代わりに維持に必要な量も少ないです》
「なら、そもそもの分野が狭くとも幅広い干渉ができる概念……自然概念でも運や命、そういう本来できないことをできるようにするのとは真逆。そう、魔法じゃなくて科学みたいな神になればいい!」
『……どういうことだ?』
風兎も、そして『SEBAS』も何を言っているのか分からないという感じだ。
だがそれでも、俺は自分の頭にあるものをとにかくぶちまけてみる。
上手く言語化できているか分からない、だがそれをできる賢さを二人が有していのだから問題ない……そうして説明を終えた二人の感想は──
『何というか、呆れたな』
「……えー」
《ですが──何というか、旦那様らしいアイデアかと》
「そう、そうだよな! うん、そう言ってくれると信じていたよ! なら、さっそく試してみようか──!」
失敗にリスクは無い。
そうして、俺は再び司る分野を変更し──完成に至るのだった。