試行錯誤 後篇
試行錯誤 後篇
広義、あるいは意味するものが強大であればあるほど、維持費が掛かる神の担当分野。
試行錯誤、神として担うソレを繰り返し選び続けた果てに──
「俺が担うのは──『試行』だ」
《維持コスト……問題無しです》
「良し、やっぱりか……そもそも神様は自然現象の具現化とか、理解できないモノをギリギリ解釈できるものにするためのもの。だから逆に言えば、信仰しなくても理解できるし求める必要のないものなら簡単なわけだ」
武具などでも担当する神は居るが、そちらは自身の技量以上を求めるがために神という超常的存在が必要だったからだろう。
同様に、女神プログレスもまたこれまで存在しなかった『プログレス』に抱いた様々な想いが核となり、女神となった存在。
俺が選んだ『試行』、それは文字通り何度も何度も試す行ないのこと。
誰でもできる、言葉の意味を知らずともできるその行いを、神と捉える者など居ない。
「そう考えると納得だな。つまりアレだ、神としての維持コストは、同時に人々がどれだけその概念に偶像を見るか……自分たちではどうしようもない存在と見るかどうか、そうなるわけだ」
というわけで、超低コストで担当することができたのが『試行』の神。
ただし、その分神としてできることもたかが知れてしまう。
「何より、俺の場合は:DIY:が神としてのリソースをほとんど持っていくから特にできることなんて無いんだけど……それでも、その神聖術式自体はいちおう使える」
《神の権能そのものでない以上、大規模な事象改変は不可能でしょう。それでも、組み合わせ次第では結果を見込めるはずです》
「今はそれができる、他と組み合わせることができる神聖術式の開発が必須だな。えっとたしか、術式自体はアクセスだけで神の方で何ができるか決めるんだよな?」
《はい。ですが旦那様は純粋な神族と違い、現人神──そして『プログレス』を使うことができます。擬・武神流同様、改変することによる発展が見込めるかと》
神聖術式は魔法などと同じ仕様ではない。
それでも魔力を消費して神とのアクセスを可能としている以上、どこかに手を加えることができる点はある。
「…………そう考えると、ルリの神聖術式もまだ強くなるのか。…………えっ、今以上に強くなってどうすんの?」
ま、まあ、彼女自身は権能を使えるので不要な気がしないでも無いが。
あと、多分手を加えずとも最初から最高な状態なんだろうな……。
「開発期間はどれくらいになりそうだ?」
《まずは“陽光”を基に改変したモノにおよそ5時間、それをアーツ系の『プログレス』で改造しますので…………1日ほどかかってしまいます》
「うん、充分!」
初期に比べ、『SEBAS』のスペックはかなりのものとなっている。
それでもそれだけ掛かるのは、やはり神様関係だからなんだろうな。