神聖術式の利点 前篇
神聖術式の利点 前篇
フラグの無効化、それがフリシア様の神聖術式を俺が使った場合の効果だった。
……“幸上”という名称でそれなのは、他ならぬ俺自身のこれまでが関わっているな。
「都度切れたら掛け直す必要はあるものの、それ以外に魔力を使える状態でも無いし。いくらでも祈りを捧げられるよ」
神聖術式は本来聖職者の領分。
なのでそちらの方もある程度育てている俺にとって、パッシブ系の補正がその維持を簡単にしてくれていた。
消費軽減、効果持続、出力強化。
最後のはともかく、残った二つによって神聖術式はそれなりに使える……残念ながら、無制限にとはいかないけれど。
「聖属性への適性が無い分、インストールでの使用はコストが掛かり過ぎる。他と比べて比較的お安いフリシア様の神聖術式でこれだからな」
調べたところ、天罰みたいな光や雷を降らすなんてものもあったからな。
ただし、滅茶苦茶高いので独りで使うのはほぼ不可能。
儀式のように場を整え、多くの者が同時に使ってやっとこさという感じ。
それでも、聖職者に非ずとも数を集めれば使えるようになったのだから便利なものだ。
他にも攻撃系の神聖術式は存在し、その神の威光を示さんと強力なモノが多い。
……そして、そのほとんどが性能に見合うだけのコストが掛かっていた。
「まあ、ある意味手っ取り早いからな。回復系は……どちらかというと蘇生とか復元とか解呪とか、従来のヤツ以上の性能が求められるみたいで苦労してたっぽいけど」
なお、そうしたヒーラー系の神様を一番苦しめている諸悪の根源が俺である。
蘇生薬に万能薬、二大最上位ポーションを薄めてばら撒きまくっているからな。
お陰でわざわざ神殿にお布施をせずとも、サクサク使うだけで苦しみから解放される。
他にも『超越者:薬毒』を介した医療技術の発達など、そちらにも関与していた。
「医療神様的には普及に繋がるからいいみたいだけど。回復や状態異常解消をメインにする神様的には、あんまり俺のやっていることは好ましくないのかもしれないな」
神聖術式による回復は、通常の回復系統の魔法と重複して使える。
ポーション中毒の時でも効果があり、インストールもそれなりにされているらしい。
……まあ、薄めた蘇生薬ならポーション中毒はほぼほぼ発生しないんだけど。
むしろ発生しても、薄めた万能薬を飲むだけで治っちゃうしな。
《それでも、すべての者を救えるような状態にするのであれば、やはり医療技術の普及は必須でしょう。また、薄めた蘇生薬や万能薬も有ると無いとでは大違いです》
「もしもの保険ってヤツだよな……まあ、悪人が悪用するリスクを踏まえてもなお、余りあるレベルで人が救われるだろうし」
そんな価値ある代物を、鼻歌混じりに作れてしまう俺の責務……なのかもしれないな。
……今は瓶に失名神話の広告も付けるようになったし、どんどん広めていかないと。