錬金チャレンジ その04
錬金チャレンジ その04
補助担当の『錬金王』、人造人間のユリルの更なる補助担当となった俺。
彼女の問題は先代の記録を継承したがゆえに、それを基にしたことしかできないこと。
「たとえばそうですね……今の世界、それは『錬金王』さんが錬金術を独自に極めていた頃と大きく違っています」
「……ツクルさんたち、ですよね」
「はい。私はともかく、錬金術が空想の産物という認識だったにも拘らず、さも当然のように創作物の知識を流用して新技術を次々と開発している……それが、休人たちの影響の一つです」
だいぶ前に生産ギルドでギルド長が言っていたが、中には私利私欲に走らず世のためになる技術を普及されている休人も居る。
しかし、大半は自分の知識を上手く使い何かをしたいという連中だ。
その多くは失敗するかすでに行われているだろう──が、中には成功するものもある。
「たとえば科学、ちょうど『錬金王』さんが今は就いていましたね」
「ああ。そろそろ超級の条件を満たせるかもしれないな」
「それは良いことですね……生産世界だと、すでに【超科学者】が現れていますし、この調子で──」
「おい待て。もう居るのか……そして、なぜそれをお前が知っている」
おっと、藪蛇だったかもしれない。
俺とその就職者──『忌創展概』との取引は大っぴらにはできないので、その辺は誤魔化しながら説明しておく。
「──とまあ、そんな感じです」
「……生産世界の法則を利用した、科学技術の普及実験か。くっ、たしかにそれは冒険世界ではやりづらいな」
「協力者はとにかく発展、普及を目的とした結果【超科学者】になりました……では、他のアプローチをすればどうなりますかね?」
「ふむ…………いや、今ではないな。話を戻さないか?」
「そうですね。一先ずは当初の予定通り、今の技術を簡易的にした形を目指しましょう」
今は人造人間の普及を目指している状況。
ここで科学技術を含めてしまうと、予定が大きく狂ってしまう。
少なくとも、今までは魔物素材などによるファンタジー人造人間の製造案だったし。
それは原人たちの中で、受け止めやすい形で成立されるためのもの。
なぜ、元『錬金王』は人造人間を生み出しそれが禁忌とされたのか。
それを検証した結果、大衆の認識が原因だということになった。
分からない、謎に包まれている。
人は未知を恐れ、だがそこに強い感情を抱く──かつて空は神のモノとされ恐れられていた、だがある天才が人のモノとした。
この世界において、神が実在することで人の可能性に制限が課せられている。
なまじ職業やスキルのシステムがあるからこそ、その範疇から出たものが生まれない。
それこそが『錬金王』が陥った禁忌。
星敵とは違う、大衆の認識から外れた恐れによって生み出された──呪いのようなナニカである。