錬金チャレンジ その05
錬金チャレンジ その05
休人たちによる技術の持ち込みから始まった会話は、生産世界で【超科学者】が現れたというところで寄り道してしまう。
現在、錬金術に別のアプローチを加えようとしている元『錬金王』が、【科学者】系統の職業を育てているからな。
なぜそういったことをしているのか。
それは彼女が純粋な錬金術を極めた理外の存在『錬金王』であったにも拘らず、かつて人造人間の製造により禁忌指定されたため。
──大衆の認識が成す一種の呪い、それを調べるためでもあった。
「私たちの世界でもかつて、魔女狩りというものが実際に行われていたそうです。理解できないモノを厭い、それを排除する……大衆はそう認識していました」
作業をひと段落させ、時間を空ける工程になったところで俺たちも休憩に入った。
だがその間に、元『錬金王』の身に起きたかつての事例に関する内容を話すことに。
「だが実際には、権力者たちに都合の悪い者たちを処分していたのだろう?」
「……当時を生きていない私では、分かり得ぬことですがね。ただ、そうして力を持たない人々にとっての認識は、そうした動きを加速的に行わせていきました。そして、こちらの世界でもある意味同じことなのです」
この世界には、現代ではありえないと言われる無数の事象が存在する。
意思だけで動く生物も居るし、思念を伝達する術式だってある意味誰でも使用可能。
その中に存在する──負の感情。
想いは形へ、怨念となりその対象となった者に縛りを設ける。
その最たるものこそ── 業値 カルマ 。
大衆が認識する犯罪を犯せば犯すほど、体に蓄積していくソレこそが負の感情。
「禁忌に対する忌避感、それを犯した者は禁忌に触れた存在として扱われる。罪には罰、悪には天誅。人造人間の製造……摂理に反した命の創造、それに対する人々が認識した捌きこそ──」
「あのような、命を生み出した分だけ命を奪うという呪いか……」
「神の裁きだと大衆が認識している、それゆえにそうなったのでしょう。神の名を以って裁きは、元『錬金王』さんに下されました」
「そんな……!」
まあ実際、魔物を呼び出したり人族を隷属させる職業なんてものはある。
だがそれは職業システムの名において許され、人造人間の製造は認められていない。
なぜそういった認識なのか、それは過去を調べなければ分からないのだが。
今ある事実、それはそうした過去の積み重ねが禁忌の一部を生み出していることだ。
「──だからこそ、それはより大きな大衆の認識で上書きすることができる。休人たちによる革新によって、その下地はすでにできていますよ」
世界間が門で接続されている世界は、ある程度情報も共有されている。
なので休人たちのバカ騒ぎもまた、世界のどこかに影響を与えている……と思いたい。
そして現在、『プログレス』という誰でも 特別な擬似権能 オンリーワン を発現できる世界。
──すでに禁忌のいくつかは撤廃されている世の中、人造人間もまた同じにするのだ。