錬金チャレンジ その10
錬金チャレンジ その10
ユリルを元気づけた。
緊張が少し解れ、やる気に満ちた彼女と共に最後の工程へ──
「こ、これは……できた、んでしょうか?」
「──ふむ。間違いない、想定した通りのモノが出来上がっているぞ」
「! やった!」
「ええ、おめでとうございます!」
特段語ることも無く。
緊張というデバフ状態から解放されたユリルは、難易度の高い工程をあっさりと終わらせた。
『──』
「ふむ……やはり知能が足りないか」
「師匠様……」
「ああいや、これは仕様だ。言わば、この人造人間は赤子。体を動かすことから言葉を理解し話すこと、何から何までいっさいをゼロから覚えなければならない」
説明された通り、人造人間は用意したからと言っていきなり行動できるわけではない。
これは俺がイベントで行ったクローンなども同様で、初期状態では動けないのだ。
しかし、イベント時のことからも分かる通り、それを動かす方法は存在する。
俺がやったのはかなり外道なヤツだったので別として、元『錬金王』の場合は──
「ユリル用に組み上げたものなら、流用できるか……」
そう言って、人造人間を持ち上げて部屋に配置されていた容器の中へ。
呼吸器を取り付けた後、内部を液体で満たし──『アルケミア・タブレット』を操作。
すると内部で発光現象が発生、錬成陣が出現して人造人間を上から下へスキャン。
それだけで、人造人間は中で目をパチパチと──それをする動きを学んだのだ。
「凄いですね……」
「基本動作と言語だけだがな。いきなり多くの情報を入れようとすると、物理的に脳が耐えられないからな」
「…………」
「ユリル、お前はそもそもの前提が違う。これも過程で編んだもので、実際には使われていないからな」
「…………でも、ボクには師匠様の記録がありますよね?」
「……まあ、耐えられるだけのスペックにしたのは他ならぬ私だからな」
入ったからいいけど……みたいなアレだ。
確実に量が量だし、相応の脳の処理能力が求められる。
俺が用意した器は、そんな強化人間みたいな仕様にはなっていない。
それでも脳に収まったのは──錬成により組み込まれた、擬似魂のお陰だ。
そんなことを考えていると、弟子からの視線に耐えかねた元『錬金王』が、ちょうどこちらにその話題を振ってくる。
「せ、『生者』! 擬似魂の方はどうだ?」
「見た限り、正常に機能しているのでは? こちらを見る目にも、どことなく好奇心のようなものが感じられます」
ただ情報を刷り込まれただけでは、ロボのように状況に合わせた行動選択しかすることができない。
だが擬似魂があれば、そこに拡張性をもたらすことができる。
擬似魂を基に学習・成長していくことができる……まあ、追加パッケージだな。