錬金チャレンジ その11
錬金チャレンジ その11
暗躍街 中立域
ついに人造人間が出来上がった。
俺が用意した肉体だけの器、そこに擬似魂という拡張性を持った学習装置をもたらすことで、成長を可能とする仕様だ。
「──とまあ、そんなこんなでまずできた初期型。こいつを基にダウングレードを重ねていって、完成に至ったわけだ」
「……凄く端折ったな」
「実際、そこからはそんな感じなんだよ。職業能力とか権能のごり押しで、どこまで一定の質を維持したまま必要素材を抑えられるかの繰り返し。擬似魂で特に苦労したけど……それでも何とか、こうして出来上がった」
俺と旧現『錬金王』たちで挑んだ人造人間普及化計画は、現実世界における一週間ほどで成果を出した。
今回、タクマのところにサンプル品を持ち込んだのは情報屋であるこいつに、それを広めてもらうため……伝手が広いので、本当に大助かりである。
それは少々大きめなポスター用紙。
そこに無数の紋様が描かれていて、中央の辺りには一際大きい錬成陣が一つ。
「理想の嫁錬成陣……じゃなかった、人造人間錬成陣だ。必要な素材を陣に載せて、必要量の魔力を注ぐだけで誰でも人造人間を錬成できるぶっ壊れアイテムだ」
「狂ってんな……ちなみにそれ、容姿とかどうなってるんだ?」
「錬成陣の方でイメージを汲み取って、あとは素材次第だな。別途でシミュレーションソフトを魔道具として用意してあるから、先にそっちで試して、計算された必要素材を集めて使えばたいていは何とかなるな」
「マジか……いや、何というかそういう連中がお前らを信仰するようになるかもな」
「まあ、ぶっちゃけそれが狙いでもある……忌避感の払拭、あと悪用を防ぐための策が組み込まれているこれを広めて、近い将来これが当たり前になる世界を創りたいんだ」
ユリルが現『錬金王』な以上、世界は彼女の存在を認めている。
創造者にペナルティは与えたものの、被創造物に罪は無いというアレなのだろう。
しかしこれからの世界、休人たちのやらかしがどこでどう暴発するか分からない。
実際、タクマによれば同様の計画を水面下で目論んでいた休人たちも居たようだし。
「『ホムホムクラブ』の連中も、これがあれば今のプランを一時的に止めるだろうな」
「……そんな名称なんだな」
「生産世界を活動拠点にして、錬金術ベースじゃなくて科学的なアプローチでやろうとしていたらしいな。で、結構な警告を受けながらも肉体だけはできたらしい」
「……魂か」
「そう、お前らとの違いはそこだな。というか、決定的な違いだろうな。お前は原人たちと協力したが、あいつらは休人たちだけでやろうとした。観点の問題だ」
そのコメコ……じゃなかった、ホムホムクラブのヤツらの試みも、実は最終的には上手く行ったかもしれない。
ただし、それは付喪神が発生するレベルで扱われ続ければの話。
脳という演算装置に人に近しいレベルで知識を入れれば、まあ限りなく人に近づける。
だがそれは機械が人の体を持ったのと同じこと、指定されたロケーションにおけるアクションを取り続けるだけに過ぎない。
それでも、魔力という概念が存在するここならば、いづれ純粋な科学の産物であっても変化がもたらされ、命を宿せるかもしれないが……休人はせっかちだからな。