錬金チャレンジ その12
錬金チャレンジ その12
冒険世界 生産ギルド ギルド長室
タクマに宣伝を任せた。
どうやら俺たちだけでなく、休人たちの中にも人造人間を別のアプローチで生み出そうとしている連中が居たらしい。
だが、彼らは肉体を生み出すことはできても、魂までは用意できなかった。
俺たちも擬似魂なのは変わらないが……視点の違い、なんだろうな。
「──と、いうわけで新『超越者:錬金王』様のデビュー作がこちらです」
「…………なんで、今?」
「あはは……」
「わざとだよね!? もう広まってて、強引に止めたら休人たちが暴動を起こしかねないこのタイミングでわざと来たよね!?」
そうしてタクマにも見せた完成版人造人間錬成陣を、生産ギルド長の下へ持ち込んだ。
ただし、あれから数日が経過して宣伝がかなり広まった後で。
彼(?)には生産を中止させる権限があるので、このタイミングが最適なんだとか。
他ならぬ『超越者』様の権威を借りても、少しばかし難しいデリケートなモノなのだ。
「ああもう……! ちゃんと相談されたら、きちんと聞いてあげたのに!」
「聞いたうえで、少々の制限が掛かると思いまし…………いえ、何でもありません」
「そこまであからさまに言っておいて、はぐらかされても……ハァ。まあそれでも、最悪じゃないだけマシだよ」
最悪、つまりいっさいの連絡をせず勝手にばら撒くという状況。
生産ギルドに受け入れてもらえなかった休人の中には、これをする者も多いんだとか。
まあそういうヤツはだいたい違法販売して捕縛されるし、回収された後廃棄されるのが定番だ…………もちろん、取れるだけ情報を搾り取ってからな(犯罪者相手なら合法)。
「それで、何をすればいいのかな?」
「もちろん、窓口を。レシピの方はご用意してありますので、それを量産していただければ充分です」
「充分って……簡単に言うけど、『錬金王』様レベルじゃないと作れない錬成陣なんて、さすがにギルド職員でも無理だよ?」
「今回のは特別、誰でも量産できるよう手を入れておりますので──こちらがレシピとなります、お納めください」
文句をぶつぶつと言っていたギルド長も、錬成陣の作り方を見れば目の色を変える。
それは職人としての好奇心、そして──為政者としての恐怖が見え隠れしたもの。
「これは……間違いなくとんでもないね」
「錬成陣の方に、禁則事項も組み込んだ代物です。彼らが暴走し、暴動を起こすといった事態にはならないでしょう」
「それ以外にも問題はある……あるけど、今はそれを考えている暇は無いか。見た限り、錬成陣自体は簡単だね。問題は、それを実行するための素材の方。それなら……うん、いちおう問題無いんだね」
「販売に制限を設け、量産までは持たせてください。ついでに、契約書の方も」
「……本気だね。うん、でもそれぐらいしないとダメか」
ある程度は契約書も含め、『錬金王』たちと用意してある。
欲しかったのは許可、それも今貰ったわけだし──本格始動といきますか。