錬金チャレンジ その25
錬金チャレンジ その25
始まった模擬戦は膠着状態。
死霊が体を操縦し、瘴気を振りまきながら戦う否定派の人造人間。
対する肯定派の人造人間は、盾でそれらを防ぎながら剣を構え反撃の機会を窺う。
時間を掛ければ掛けるほど、その練度は上がっていった。
「……なるほど、そういうことかい。肯定派の人造人間、その最大の特徴はレベルアップだと言ったね」
「ええ、ですが今回はどちらも初期の状態で始めていますので──」
「だからこそ、上達もすぐだ。殺すことで成長しやすい種族レベルでも、準ずることで強化される職業レベルでもない。技量の証明、スキルレベルの向上がね」
そう、スキルレベルだけはどんな状態でも勝手に育っていく。
いちいち戦闘が終わらないと技術が成長しない、なんてことあるわけないだろう。
もちろん、否定派の人造人間も死霊の方が少しずつスキルレベルを上げていく。
──ただし、格上が格下にスキルを使っていても、成長速度はその逆に劣る。
「な・る・ほ・ど、対等に見えてその実こういう状況も想定していたわけだね。付け加えるなら、最初の審査でアピールしている間もスキルレベルは成長する。否定派が種族レベルで細工をしても、逆手に取れるわけだ」
「…………たまたま、そういうことになったに過ぎませんよ」
少なくとも、俺はそんな深いところまで考えてない。
その辺は『SEBAS』にお任せだったからな……うん、さすがは『SEBAS』。
正直、圧勝するよな……ぐらいの自信でいたのに、思いのほか粘ってビックリしているぐらいだ。
否定派は死霊を、人造人間が耐えられるギリギリまで強化した状態で憑依させたようだが、それが肯定派のスキルレベル向上を手助けしているのだから皮肉な話である。
「そして、スキルレベルが一定まで到達すれば使えるようになるよね~」
「人造人間たちは賢いですので。ええ、使えますとも──斬撃系の武技“ 切斬 スラッシュ ”です」
「タイミングもバッチリ。盾で動きを誘導して、回避できない状況を作ってからの一撃。これは決着あったね」
武技による最適な動きで振るわれた剣は、否定派の人造人間に致命的な一撃を与えた。
ダメージそのものではない、死霊を受け入れる器そのものへの衝撃が致命的なのだ。
「お互い、ただの人造人間同士であればまだ勝敗は分かりませんでしたが……死霊を憑依させることに特化させ過ぎましたね。結果、武技に織り交ぜた精気力に耐えられず──決着です」
人造人間は負荷に耐えられず自壊。
死霊は中から飛び出し、否定派の指示も聞かずにどこかへ飛び去っていく──直前、放たれた神聖な光に穿たれ消滅していく。
「……ふむ。上手く逝ったようだね」
「あの、『忌創展概』さん?」
「なに、巷でウワサの神聖術式に関する仮説が浮かんでね。神をも恐れぬ所業とはよく言うものだ──まさしく、ボクに相応しいと思わないかい?」
「ははっ、人造人間同士の模擬戦中に突如現れた謎の死霊。それが討伐されても、私どもには何ら関わりはありませんでしたね」
どこからか罵倒が飛んできているが、何食わぬ顔をしている『忌創展概』。
その辺にしておいた方がいいぞ……たぶんこの展開も含めて、何か狙っているからな。