襲来イベント予告 前篇
襲来イベント予告 前篇
現実
生産世界に『トラベルトランク』を仕込んだことで、いつでも密入界できるように。
今後は人造人間たちに潜入してもらい、あちこち探ってもらう予定だ。
「──公式イベントねぇ……うーん」
「あっ、どうしたんだよ?」
「何というか、わざわざ用意してもらったイベントよりも刺激的な日々をお送りしているというかなぁ」
「上位の連中はそんなもんらしいな。お前ら一家といい、俺みたいな一般人じゃ体験できないことをしているようで」
「お前を一般人とは言わん……まあ、あそこの本物の『逸般人』とは言わんが、それでもそういう連中御用達の情報屋だろうに」
タクマに多大な恩を売ってある程度優先してもらっているが、独占なんてできない。
俺以外にもコイツの下に辿り着いた者に、情報を売って楽しんでいるからな。
中には、俺……というかうちの家族ぐらいいろいろやっている休人も居るらしい。
守秘義務云々で教えてもらえないが、やらかす連中が多いと溜息を吐いていたことも。
「で、どういうイベントなんだ?」
「今回は──『襲来、統一世界ムー』なんだとよ……前に言ってた、アレ関係か?」
「だと、思うが……マジか」
「まあ、お披露目だろうな。これまで行き来していた世界、そして箱庭以外にも遊べる場所があるんだよって……どこかのどいつは独占していたみたいだけど」
「うん、正直悪いと思う……いちおう理由もあるんだぞ」
俺だけが来訪している二つの遺失世界。
幻想大陸の名を冠したそれらの世界に向かうためには、その権限を秘めた同名の少女たちと接触しなければならない。
……のだが、彼女たちは自ら名乗ることができない状態だったのだ。
俺も発声を認識できず、『SEBAS』が解析することで名前も判明した。
「他にも『プログレス』は発現しない、そこから強引に……許可を取ってから個人情報を確認してもバグだらけ。曰く、彼女たちを構成するナニカが足りないらしい」
「で、それと独占とどう結びつくんだ?」
「俺が遺失世界に行って、そこで何かすると彼女たちに反映されるらしいんだよ。どうも【救星者】があるから行き来できて、そういう効果があるらしい」
「つまり、お前さんがその子たちを完全な状態にするまではダメってことか」
「そうなるな。星を救う者だから、なのかもしれないけど……一人にやらせることか?」
少なくとも、滅亡世界は世界が滅んでも誰でも行き来が可能な世界だ。
何かしらの条件を満たせば、いつかはそうなるのかもしれない。
「まあ、それはいいんだよ。だが少なくともムーが襲来、って公式が言っているんだから襲来なんだろうな……侵略か?」
「まあ、普通に来てくれるなら来訪とかそうじゃなくても来襲でいいんだよな。メタ読みするなら、ただ来るだけだと戦闘職が楽しめないからバトル要素を入れたんだろう」
ムー世界がどんな場所か、元ネタを調べておくべきだろう。
場合によっては、今までの常識が通じない未知のナニカとぶつかるわけだからな。