ムー襲来イベント前篇 その01
ムー襲来イベント前篇 その01
イベント世界
──始まりは、唐突だった。
ジ、ジジジ、ジジジジジジ……
海上が蜃気楼のように歪み、ナニカが中から姿を現す。
それは船、帆を張らず金属で固められたそれは戦艦とも呼べる代物。
だが違う──船は海に触れていなかった。
海の上、宙を泳ぐ鋼鉄の塊が一艇、二艇と歪みから現れていく。
『異界の者に告げる! 我ら、ムー帝国第三宙軍の者である! 此度、この異界を我らが統治下に在ることを認めよう! 首を垂れ、服従を誓え!』
先頭に立った船から響くのは、一方的な侵略の宣言。
だが、彼らにその意は無い……彼らの世界にとって、これは当たり前のことだからだ。
『繰り返す! この異界は我らが統治の下となる! 異論などあるまい、光栄なことである! だが、愚かにも異を唱えるという者が居るならば前に出よ──寛大なる我らが王により、救済を与えよう!』
それは、力の証明。
圧倒的力を持つ自分たちに文句を言いたいなら、それができるだけの力を示せ──ムー世界は、それを捻じ伏せる力を有していた。
◆ □ ◆ □ ◆
同時刻、異なる海上。
ジ、ジジジ、ジジジジジジ……
海と空の間から、突如として姿を現した一隻の船。
別の場所から現れた軍艦と違い、それは武装を最低限しか持たない代物だった。
また、船の何か所かが損傷を受けてボロボロな状態。
砂浜に乗り上げた船は、動力が落ち動けなくなっていた。
「ここが……異世界ですか」
「やりましたね、ひ……お嬢様!」
「何としても、この異界の民たちと接触しなければなりません。ですが、あまり派手な動きはできませんね」
「すでに侵攻派が『渡り』を行っているからこそ、私たちもこうして入り込むことができたわけですしね」
彼女たちは異なる目的を持って、ムー世界から訪れた者たち。
力による制圧ではない、手と手を取り合う友好を結ぶために。
「まずは……船の修理からですね。すぐに準備を! 一刻も早く、この世界を統べる者に会わなければなりません!」
ムー世界を救うため、彼女は立ち上がる。
自分たちの世界の力だけではない、異なる世界の助力が在れば必ずや脅威を退けられると信じて。
◆ □ ◆ □ ◆
そして、また同時刻。
「……へっ? ここ、どこ?」
同じくムー世界から現れた子供。
船を用い海上から現れた者たちと違い、森の中に突然出現した。
「王様たちの船が飛んで、急に撃って、いろいろぐらんぐらんして……あれ、それからどうなったんだっけ?」
それと同じように、何人ものムー世界の民が地上のどこかに現れだす。
──こうして、『襲来、統一世界ムー』が幕を開くのだった。