ムー襲来イベント前篇 その04
ムー襲来イベント前篇 その04
森人族の隠れ里で発見された、ムー世界の住民と思われる成人男性と接触した。
言語を理解するため会話をしていたら、あちらの世界の謎概念を知ることに。
「──ふむ、『陽素』とはつまりそちらの世界における万能エネルギーであると」
「少なくとも、僕たち下級民にはそう伝わっているよ。君の言う宙船も武器も、 陽具 ソルテム も全部に陽素が使われているんだって」
「とても興味深い話ですね」
電気も魔力も、聞きだした話が正しければ霊力や生命力も、すべてが陽素と繋がっていると推測できるムー世界。
この陽素、元ネタが正しければおそらくは太陽の化身が統べる世界という点が関わっているのだろう。
遺失世界、それは何らかの要因で未来が閉ざされた場所。
もしもムー世界におけるそのナニカが、万能たる陽素なのであれば?
違うかもしれないが、現状では比率はともかく関わっている可能性が高い。
だって万能エネルギーだもん、しかも太陽があれば無尽蔵に存在する。
おまけにムー世界は日が沈まない。
本当に無限に等しいエネルギーを、一国家が独占して世界の統一を成した……ゆえに彼の世界には、ムー以外の国家は無いのだ。
「あの……僕はこれから、どうなるのでしょうか?」
「選択肢はありますよ。軍を率いて現れた、えっと……ムー帝国第三宙軍の下へ向かう、船は壊れたもののこちらとの友好を深めようとしているお姫様の下へ向かう、そして自力で帰るかここに住むかです」
「ここに住む……いいんですか?」
「おや、それ以外の選択肢は眼中に無いのですか?」
「……そうした方が、いい気がするんです。なぜでしょうか、そんな考えこれまでしたことなかったのに」
彼自身、不思議に思っているようで首を傾げながらも宣言は曲げない。
世界が違えば常識も違う、不自由のない世界なら帰りたいと思うはずなんだけどな。
《旦那様、そのことですが……おそらく、彼はスキルを保有しています》
「…………それが理由で?」
《直感、あるいは幸運に由来するものでしょう。偶然迷い込み、偶然森人と接触し、偶然旦那様と出会う……それでも、旦那様の想像通り未知を生きる覚悟ができるだけの確信が持てるのは、それが理由と思われます》
「分かりました。では、私から里長に貴方の主張はお伝えしておきましょう。ただ、しばらくはあまり遠くへ出れないことをご了承ください……軍やお姫様の思惑が、未だ分かっていませんので」
「ありがとうございます!」
そんなこんなで、森人族の隠れ里に匿われることが決まった成人男性。
彼の選択がどういった結果を引き起こすのか……それはまだ、誰にも分からない。